1,197 / 2,768
第11章~強くなるために~
第142話
しおりを挟む
「その節はありがとうございました。バルドル様がオーディン様に口添えしてくださったおかげです」
「私はほとんど何もしてないよ。フレインが頑張ったのと……父上が、ちょっと強引なことをしたおかげかな」
「……強引?」
どういうことかわからず、アクセルは首をかしげた。
するとバルドルは、すこし苦笑しながら言った。
「きみに言うべきことじゃないかもしれないけど……きみの母親・予言の巫女は、神々の間で――正直、あまり評判がよろしくなくてね。性格も性格だし、唐突な予言で周りを混乱させるから、父上を始めとした神々に煙たがれていたんだ」
「あー……それはわかる気がします」
彼女と直接話したのはラグナロクの最後、石碑の前でほんの少しだけだったが、それだけでもだいぶうんざりしたものだった。アクセル自身も、「なんでこんなのが自分の母親なのか」と思ったし、「こんな性格じゃ煙たがられて当然だよな」とも思った。
なので、バルドルの口から予言の巫女に対する罵詈雑言が出てきたところで、何とも思わない。むしろ「普通はそう思いますよね」と共感してしまうくらいだ。
「それで……ラグナロクで巫女本人は消えたわけだけど、まだ息子・フレインが残っていた。で、当然フレインはきみを復活させるために父上を頼ったけど、実はそこでひと悶着あったんだ」
「ひと悶着、とは?」
アクセルが首をかしげると、バルドルはこちらに顔を近づけ、声を潜めて言った。
「私はほとんど何もしてないよ。フレインが頑張ったのと……父上が、ちょっと強引なことをしたおかげかな」
「……強引?」
どういうことかわからず、アクセルは首をかしげた。
するとバルドルは、すこし苦笑しながら言った。
「きみに言うべきことじゃないかもしれないけど……きみの母親・予言の巫女は、神々の間で――正直、あまり評判がよろしくなくてね。性格も性格だし、唐突な予言で周りを混乱させるから、父上を始めとした神々に煙たがれていたんだ」
「あー……それはわかる気がします」
彼女と直接話したのはラグナロクの最後、石碑の前でほんの少しだけだったが、それだけでもだいぶうんざりしたものだった。アクセル自身も、「なんでこんなのが自分の母親なのか」と思ったし、「こんな性格じゃ煙たがられて当然だよな」とも思った。
なので、バルドルの口から予言の巫女に対する罵詈雑言が出てきたところで、何とも思わない。むしろ「普通はそう思いますよね」と共感してしまうくらいだ。
「それで……ラグナロクで巫女本人は消えたわけだけど、まだ息子・フレインが残っていた。で、当然フレインはきみを復活させるために父上を頼ったけど、実はそこでひと悶着あったんだ」
「ひと悶着、とは?」
アクセルが首をかしげると、バルドルはこちらに顔を近づけ、声を潜めて言った。
0
お気に入りに追加
843
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される

だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。

卒業パーティーで魅了されている連中がいたから、助けてやった。えっ、どうやって?帝国真拳奥義を使ってな
しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーに呼ばれた俺はピンク頭に魅了された連中に気づく
しかも、魅了された連中は令嬢に向かって婚約破棄をするだの色々と暴言を吐いたのだ
おそらく本意ではないのだろうと思った俺はそいつらを助けることにしたのだ

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる