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第11章~強くなるために~
第101話
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「今日は天気がいいから、外で食べようか」
庭まで野菜スープの鍋を運び、ベランダのテーブルにフレンチトーストの皿を並べ、みんなで一緒に昼食をとることにした。
ピピはあっと言う間に野菜スープを平らげてしまって、その後物欲しそうにこちらを眺めてきた。
「……なんだ? フレンチトースト食べたいのか?」
「ぴー♪」
「わかったよ、一枚だけだぞ」
そう言って自分の皿をピピの前に置いたら、案の定ピピは残っていたフレンチトーストを一口で全部食べてしまった。
「あっ、ちょ……! 一枚だけって言ったのに!」
「ぴ?」
「…………」
「…………」
「……美味しかったか?」
「ぴー♪」
「……そうか、よかったな」
結局何も言えず、アクセルは自分の分だけ新しくフレンチトーストを作る羽目になった。
***
そして死合い当日。アクセルはいつもより早起きして、軽く鍛錬してからスタジアムに向かった。
さほど緊張していたわけではないが、時折思い出したように武者震いが起きた。恐ろしいのではなく、どんな死合いになるのか想像して興奮を覚えたのだ。
――いつぞや、兄上とランゴバルト様の死合いを観戦したことがあるけど……。
何度思い出しても血が騒ぐ。ただ見ているだけでぞくぞくしてしまうほど、血沸き肉躍る死合いだった。いつか自分もあんな風に死合ってみたいと密かに思っていたものだ。
今のままでは実力的には程遠いけれど、アロイスとだったらあんな感じの死合いができるのではないか。アロイスの憧れはランゴバルトだし、こちらも兄のようになりたいと思ってずっと努力し続けている。
お互い無事では済まないかもしれないけど、きっといい死合いができるに違いない。
庭まで野菜スープの鍋を運び、ベランダのテーブルにフレンチトーストの皿を並べ、みんなで一緒に昼食をとることにした。
ピピはあっと言う間に野菜スープを平らげてしまって、その後物欲しそうにこちらを眺めてきた。
「……なんだ? フレンチトースト食べたいのか?」
「ぴー♪」
「わかったよ、一枚だけだぞ」
そう言って自分の皿をピピの前に置いたら、案の定ピピは残っていたフレンチトーストを一口で全部食べてしまった。
「あっ、ちょ……! 一枚だけって言ったのに!」
「ぴ?」
「…………」
「…………」
「……美味しかったか?」
「ぴー♪」
「……そうか、よかったな」
結局何も言えず、アクセルは自分の分だけ新しくフレンチトーストを作る羽目になった。
***
そして死合い当日。アクセルはいつもより早起きして、軽く鍛錬してからスタジアムに向かった。
さほど緊張していたわけではないが、時折思い出したように武者震いが起きた。恐ろしいのではなく、どんな死合いになるのか想像して興奮を覚えたのだ。
――いつぞや、兄上とランゴバルト様の死合いを観戦したことがあるけど……。
何度思い出しても血が騒ぐ。ただ見ているだけでぞくぞくしてしまうほど、血沸き肉躍る死合いだった。いつか自分もあんな風に死合ってみたいと密かに思っていたものだ。
今のままでは実力的には程遠いけれど、アロイスとだったらあんな感じの死合いができるのではないか。アロイスの憧れはランゴバルトだし、こちらも兄のようになりたいと思ってずっと努力し続けている。
お互い無事では済まないかもしれないけど、きっといい死合いができるに違いない。
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