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第11章~強くなるために~

第66話

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 途中、目印をつけたヒノキの林を通りかかったが、何だか切る気力が失せてしまい、目印のロープを外して帰った。庭に露天風呂を作りたいというのも、ピピと一緒に湯浴みできたらと思ったからだ。ピピがいないのなら、わざわざ作る必要もない。

 家に帰り着き、アクセルはふと庭を眺めた。

 乗馬できるくらい広い庭の隅に、大きなうさぎ小屋がある。あれも雨風に晒されてだいぶ傷んできていた。露天風呂を作るついでに新しく作り直そうかと思っていたが、その必要もなくなってしまった。

 ――あれも、近いうちに取り壊さないとな……。

 そんなことを考えながら部屋着に着替えていると、兄がちらりとこちらを見た。

「挨拶くらいしていけばよかったのに」
「したら別れが惜しくなるだろ。こういう時は、あまり話をしない方がいいんだよ」
「そうかい? お前がそう言うなら、それでいいけどね」
「……それより、兄上には無駄足をさせてしまったな。特に収穫もなくてつまらなかったかもしれない。すまなかった」
「いや、私はお前と山歩きできて楽しかったよ」
「そうか……ならよかった」

 アクセルは視線を逸らし、ごまかすように言った。

「早めに帰って来てしまったから軽食も消費してなかったな。それは昼ご飯の代わりにしよう。それから後で市場に買い物行ってくる」
「ああ、うん……」
「じゃあ、今から昼食作り直すよ。焼きおにぎりと雑炊、どっちがいい?」

 そう言いつつキッチンに入ったら、兄が目を細めてこう言った。

「……お前、かなり無理してるだろう」
「えっ……?」
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