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第11章~強くなるために~

第53話

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「わかった、明日はピピと山に行こう。ピピもずっと留守番ばかりじゃつまらないだろうし」
「うんうん、それがいいよ。楽しみだねぇ」
「材木を運ぶ時は、兄上も手伝ってくれよ?」
「え? お前が全部担いで下山するんじゃないの?」
「……あなた達上位ランカーと下っ端ランカーを一緒にしないでくれ」

 少なくとも自分は、ミューのように太い丸太を三本も担ぎながら移動することはできない。

 兄は朗らかに笑いながら、頭を反らして天を見上げた。頭上では無数の星が輝いていた。

「ヴァルハラの空は綺麗だね」
「そうだな。地上でこんなにたくさんの星を見たことはないよ」
「考えてみると不思議だよね。生前は、死んだら星になるって言われてたけど、私たちは一度死んでヴァルハラに招かれてるわけでしょ? あの星はヴァルハラに招かれなかった人達の集まりなのかな」
「……そんなの、考えたこともないよ。星は星だとしか思ってなかった」
「おや、そうかい? 私はたまに考えるなぁ……人は死んだらどこに行くんだろうって」

 へえ……と思って、アクセルは兄を見た。いつものんびりしている兄が、そんな哲学的なことを考えているなんて意外だった。

「ヴァルハラに来られなかった人たちは、みんなああやって星になってるのかなぁ……。それとも死者の国に送られるのかなぁ……。あるいは誰かに生まれ変わって、また地上で生活してるのかなぁ……」
「どうなんだろうな。考えたところで全くわからないが」
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