1,095 / 2,778
第11章~強くなるために~
第40話※
しおりを挟む
頬に痛みを感じた。薄皮がピッと破け、小さく血液が噴射し、前髪も数本千切れてしまう。
――ちょっ、嘘だろ……!?
刃は当たっていない。間合いの内側にも入っていない。
にもかかわらず、頬が切れた。ということは、これは空気も一緒に刃にしていると考えてよい。刀身に纏わりつく空気を武器と一緒に奮うことで、目に見えるより何倍も広い間合いを確保しているのだ。
――くそ……ただでさえ読みづらいのに……!
変幻自在の刃は、少し手首を捻るだけであっと言う間に軌道が変わる。それを防ごうと小太刀で剣を弾いても、すぐさま軌道修正してこちらに襲い掛かって来るのだ。
おまけに間合いは恐ろしいほど広く、密集している。ユーベルを含め六人の戦士が一斉に武器を振るっているのだから当然だ。これでは反撃の糸口すら掴めない。
まず攻撃をかいくぐることが難しいので、周りの参加者も皆ことごとく斬られてしまっている。
「ほほほ、愉快ですねぇぇ! さあ、皆さんも一緒に踊りましょう!」
そんなユーベルは、さも楽しそうに笑いながらリボンのような刃を振るっている。滅茶苦茶に振るっているように見えて、太刀筋は恐ろしいほど優雅で美麗だった。血飛沫がアーチ状に舞って、まるで虹のようだった。
――って、見惚れてる場合じゃない……!
このままではこちらの体力が先に尽きてしまう。どうにか反撃しなくては、一方的に攻められるだけで終わってしまう。
どうしよう……どうすれば……。
――ちょっ、嘘だろ……!?
刃は当たっていない。間合いの内側にも入っていない。
にもかかわらず、頬が切れた。ということは、これは空気も一緒に刃にしていると考えてよい。刀身に纏わりつく空気を武器と一緒に奮うことで、目に見えるより何倍も広い間合いを確保しているのだ。
――くそ……ただでさえ読みづらいのに……!
変幻自在の刃は、少し手首を捻るだけであっと言う間に軌道が変わる。それを防ごうと小太刀で剣を弾いても、すぐさま軌道修正してこちらに襲い掛かって来るのだ。
おまけに間合いは恐ろしいほど広く、密集している。ユーベルを含め六人の戦士が一斉に武器を振るっているのだから当然だ。これでは反撃の糸口すら掴めない。
まず攻撃をかいくぐることが難しいので、周りの参加者も皆ことごとく斬られてしまっている。
「ほほほ、愉快ですねぇぇ! さあ、皆さんも一緒に踊りましょう!」
そんなユーベルは、さも楽しそうに笑いながらリボンのような刃を振るっている。滅茶苦茶に振るっているように見えて、太刀筋は恐ろしいほど優雅で美麗だった。血飛沫がアーチ状に舞って、まるで虹のようだった。
――って、見惚れてる場合じゃない……!
このままではこちらの体力が先に尽きてしまう。どうにか反撃しなくては、一方的に攻められるだけで終わってしまう。
どうしよう……どうすれば……。
0
お気に入りに追加
845
あなたにおすすめの小説

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

転生したら弟がブラコン重傷者でした!!!
Lynne
BL
俺の名前は佐々木塁、元高校生だ。俺は、ある日学校に行く途中、トラックに轢かれて死んでしまった...。
pixivの方でも、作品投稿始めました!
名前やアイコンは変わりません
主にアルファポリスで投稿するため、更新はアルファポリスのほうが早いと思います!

セントアール魔法学院~大好きな義兄との学院生活かと思いきや何故だかイケメンがちょっかいかけてきます~
カニ蒲鉾
BL
『ラウ…かわいい僕のラウル…この身体の事は絶対に知られてはいけない僕とラウル二人だけの秘密』
『は、い…誰にも――』
この国には魔力を持つ男が通うことを義務付けられた全寮制魔法学校が存在する。そこに新入生として入学したラウルは離れ離れになっていた大好きで尊敬する義兄リカルドと再び一緒の空間で生活できることだけを楽しみにドキドキワクワク胸を膨らませていた。そんなラウルに待つ、新たな出会いと自分の身体そして出生の秘密とは――
圧倒的光の元気っ子ラウルに、性格真反対のイケメン二人が溺愛執着する青春魔法学園ファンタジー物語
(受)ラウル・ラポワント《1年生》
リカ様大好き元気っ子、圧倒的光
(攻)リカルド・ラポワント《3年生》
優しいお義兄様、溺愛隠れ執着系、策略家
(攻)アルフレッド・プルースト《3年生》
ツンデレ俺様、素行不良な学年1位
(友)レオンハルト・プルースト《1年生》
爽やかイケメン、ラウルの初友達、アルの従兄弟

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。
天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。
成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。
まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。
黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる