1,063 / 2,786
第11章~強くなるために~
第8話
しおりを挟む
「うむ。普通の者はこの水に馴れるだけで丸一日はかかる。最初から三〇分間も耐えられるなどと思うな。力は一朝一夕には身に付かぬものだ」
「は、はい……」
そうなのか。この滝修行はそんなに難しいものだったのか。まあ確かに、普通の滝修行とは比べ物にならないくらい大変だったけど。
「でもケイジ様は、毎日こういった訓練を当たり前のようにこなしているんですよね」
と、アクセルは感嘆の息を吐いた。
「滝に打たれる時の心得とか、何かあるんですか?」
「心得とは?」
「この水、凍りそうなほど冷たいでしょう? 上から落ちてくると石みたいに重くなるし、ちょっとでも気を抜いたら死にそうだし。でもケイジ様は平気な顔して打たれていらっしゃったので、心構えからして俺とは違うんじゃないかと……」
「…………」
するとケイジは、腕組みをしてこちらを見下ろしてきた。殺気はないのだが、上位ランカー特有の迫力に圧倒されそうだった。
「心頭滅却すれば火もまた涼し」
「えっ……?」
「集中力を極限まで高めれば、水の冷たさなど感じなくなるものだ。水が冷たいなどと思うのは、集中が足りない証拠である」
「そ、そうですか……」
「あとは強靭な足腰だな。足腰さえしっかりしていれば、どんなに重いものが上から落ちて来ても負けることはない。何時間でも滝に打たれていられる」
「はあ……」
つまり自分が滝修行で気絶したのは、集中力と足腰がなかったということだ。その二つが十分に備わっていなければ、滝修行はクリアできないということだ。
「は、はい……」
そうなのか。この滝修行はそんなに難しいものだったのか。まあ確かに、普通の滝修行とは比べ物にならないくらい大変だったけど。
「でもケイジ様は、毎日こういった訓練を当たり前のようにこなしているんですよね」
と、アクセルは感嘆の息を吐いた。
「滝に打たれる時の心得とか、何かあるんですか?」
「心得とは?」
「この水、凍りそうなほど冷たいでしょう? 上から落ちてくると石みたいに重くなるし、ちょっとでも気を抜いたら死にそうだし。でもケイジ様は平気な顔して打たれていらっしゃったので、心構えからして俺とは違うんじゃないかと……」
「…………」
するとケイジは、腕組みをしてこちらを見下ろしてきた。殺気はないのだが、上位ランカー特有の迫力に圧倒されそうだった。
「心頭滅却すれば火もまた涼し」
「えっ……?」
「集中力を極限まで高めれば、水の冷たさなど感じなくなるものだ。水が冷たいなどと思うのは、集中が足りない証拠である」
「そ、そうですか……」
「あとは強靭な足腰だな。足腰さえしっかりしていれば、どんなに重いものが上から落ちて来ても負けることはない。何時間でも滝に打たれていられる」
「はあ……」
つまり自分が滝修行で気絶したのは、集中力と足腰がなかったということだ。その二つが十分に備わっていなければ、滝修行はクリアできないということだ。
0
お気に入りに追加
843
あなたにおすすめの小説

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。


モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる