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第8章~ラグナロクの終わり~
第24話
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「おわっ!」
その時、突然胸元に入れていたヤドリギが反応し始めた。ぐいぐいと芽を伸ばすように服を内側から引っ張り、屋敷の扉に向かっていこうとする。
「ちょ、何だ!? 勝手に反応するなよ、おい!」
こんなところで服をビリビリにされるわけにもいかず、仕方なくアクセルは屋敷の中に足を踏み入れた。罠の臭いがぷんぷんする一方で、バルドルがいるのか確かめたいという気持ちもあった。例え幻であっても、懐かしい姿をもう一度拝みたかった。
――静かだな。
屋敷内はシン……としていて、ほとんど物音がしない。その分、自分の足音が無駄に大きく聞こえて少し緊張した。もっともバルドルはこの広い屋敷に一人暮らしだったから、最初からあまり生活音はしなかったのだが。
――バルドル様がいるとしたら、自分の部屋か食堂か地下倉庫ってところか……。
アクセルはまず、一番可能性の高いバルドルの部屋に行ってみた。屋敷の間取りは記憶の通りだったので、ほとんど迷うことはなかった。
――開いてる……。
扉がわずかに開いているのが廊下から見えて、アクセルは忍び足で部屋に近付いた。何が出て来てもいいように、小太刀の柄に手をかけておく。
音を立てずに慎重に扉を開け、中を確認した。が、そこには誰もいなかった。少なくとも誰かがいる気配はなかった。バルドルの執務机の上には、彼が読んでいたであろう小難しい本がたくさん置いてある。
そのうちの一冊がヴァルハラのルールブックのようなものだったので、アクセルは思わず手に取ってパラパラ眺めた。
その時、突然胸元に入れていたヤドリギが反応し始めた。ぐいぐいと芽を伸ばすように服を内側から引っ張り、屋敷の扉に向かっていこうとする。
「ちょ、何だ!? 勝手に反応するなよ、おい!」
こんなところで服をビリビリにされるわけにもいかず、仕方なくアクセルは屋敷の中に足を踏み入れた。罠の臭いがぷんぷんする一方で、バルドルがいるのか確かめたいという気持ちもあった。例え幻であっても、懐かしい姿をもう一度拝みたかった。
――静かだな。
屋敷内はシン……としていて、ほとんど物音がしない。その分、自分の足音が無駄に大きく聞こえて少し緊張した。もっともバルドルはこの広い屋敷に一人暮らしだったから、最初からあまり生活音はしなかったのだが。
――バルドル様がいるとしたら、自分の部屋か食堂か地下倉庫ってところか……。
アクセルはまず、一番可能性の高いバルドルの部屋に行ってみた。屋敷の間取りは記憶の通りだったので、ほとんど迷うことはなかった。
――開いてる……。
扉がわずかに開いているのが廊下から見えて、アクセルは忍び足で部屋に近付いた。何が出て来てもいいように、小太刀の柄に手をかけておく。
音を立てずに慎重に扉を開け、中を確認した。が、そこには誰もいなかった。少なくとも誰かがいる気配はなかった。バルドルの執務机の上には、彼が読んでいたであろう小難しい本がたくさん置いてある。
そのうちの一冊がヴァルハラのルールブックのようなものだったので、アクセルは思わず手に取ってパラパラ眺めた。
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