転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第8章~ラグナロクの終わり~

第23話

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 ――また幻か? しかしここは一体……?

 見覚えはある気がするが、なかなか思い出せない。ヴァルハラではないし、生家でもないし、それ以外でのどかな場所と言えば……。

「……あっ」

 少し道を歩いていたら、手作り感溢れるポストを見つけた。雨風に強い木でできており、手紙を出し入れしやすいようにちゃんと地面に設置されている。

「これは……!」

 記憶が繋がり、アクセルは駆け出した。

 これが自分の思い出をなぞっているのなら、あれは自分が作ったポストに間違いない。木の上にあるのが不便だからと、わざわざ地面に設置できるものを作ったのだ。

 ということは……。

「……!」

 まっすぐに道を走り、ある場所に辿り着く。それは大きな割にシンプルで品がよく、白壁の美しい屋敷だった。

「バルドル様……」

 やはりここはバルドルがいた世界だ。かつて自分が人質に出された場所だ。数ヶ月だったけど、バルドルと一緒に生活した屋敷だ。懐かしい……。

 ――バルドル様、今頃どうしてるだろう……。

 ラグナロクが始まって、神や巨人の世界は混乱しきっている。噂によると、死者の国の住人すらも、地上に戻ってラグナロクという名の大乱闘に加わっているそうだ。もはや「死」の概念とは何ぞやというところまで来ているが、もしそうであるならば、バルドルが自分の屋敷に戻った可能性も否定できない。

 ……いや、自分が見ているのはあくまで幻だけど。
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