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第8章~ラグナロクの終わり~

第4話

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 泣いている弟にはかまわず、兄は黙々とテーブルの上を片付けた。食器を全部流しに持って行き、まき散らされたお粥を雑巾で拭き、全部元通りにして何事もなかったように家の外に出る。

 何をするのかと思っていたら、当たり前のように干してあった洗濯物を取り込み始めた。食事より先に洗濯物を片付けようと思い直したみたいだ。

 大きさの違う衣類を全部抱え、家に戻って黙々と畳み始める。少年用の衣服より、明らかに赤子サイズの服の方が多かった。それだけアクセルが服を汚している証拠だ。

 ――兄上は何で我慢できたんだろう……。

 いくら自分の弟だからって、面倒を見なければならない義務はない。そもそも本来、子供を育てるのは親の仕事のはずだ。兄はあくまで「育てられる側」であり、「育てる側」に回る必要はない。

 それなのに何故兄は、こんなに手のかかる弟を育てられたのだろう。自分の仕事ではないはずなのに、どうして……。

「ぴー!」
「……ぐえっ!」

 突然腹部に重みを感じ、アクセルは飛び起きた。一瞬、どこにいるのかわからなかった。

「おや、やっと起きたね。お前は相変わらず寝つきがいい」
「っ……!?」

 兄の穏やかな顔が見える。空は穏やかに澄み渡って、雲のような小島がいくつも浮いていた。

 ――……って、小島??
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