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第7章~ラグナロクの最中に~

第106話

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「お前、顔色悪くない? そんなに高いところダメだった?」
「そ、そんなことないと思ってたんだけどな……。足場がしっかりしてないのは、ちょっと苦手かもしれない……」
「じゃあ飛び降りるのやめとく? お兄ちゃんだけで行って来ようか?」
「それは絶対嫌だ! 置いて行かれるくらいなら俺から先に飛び降りてやる!」

 そう意気込んだら、兄はにこりと笑って「いい子いい子」と髪を撫でてくれた。

 アクセルは恐怖を無理矢理ねじ伏せ、立ち上がった。ここで怖がっていては何も始まらない。進まなければならない時は絶対にある。

 ――それに、兄上と一緒なら……。

 そっと手を伸ばし、兄の手を握った。意外とたくましい手を握っていたら、閉じ込めていた恐怖が少しずつ薄れていった。

「ぴー」

 ピピもすりすりと身体をすり寄せてくる。ふわふわの毛並みが頬に当たり、ちょっとくすぐったかった。

「ああ、そうだな。ピピも一緒だ。みんな一緒なら怖くない」

 アクセルはもう片方の手でピピを撫でた。今ではピピも大事な家族だ。平和になったらヴァルハラに大きな庭付きの家を建てるという夢も、忘れていない。
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