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第7章~ラグナロクの最中に~

第88話

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「なんで僕だけ一人なの……」

 拗ねながら、時折「ぐすん」と鼻をすすっている兄。アクセルが生まれる前は一人っ子だったから、両親がいなければ本当に独りぼっちになってしまうのだ。きっと今までも寂しい思いをしてきたに違いない。

 ――兄上……。

 父は自分の戦いで忙しい。母は他の男と遊んでいる。兄には何もない。友達はそれなりにいただろうが、そんなのは一時的な慰めにしかならない。家に帰ったら結局一人になってしまう。

「兄上……」

 自分の方が辛くなってきて、アクセルは思わず声をかけていた。

「えっ……!?」

 すると、兄がびっくりしてこちらを振り返った。大きな青い目がアクセルを見上げてきた。

「……お兄ちゃん、誰?」
「えっ? あー……ええと……」

 まさか反応が返ってくるとは思わず、アクセルは答えに迷った。

 ――これ、幻じゃないのか……?

 会話になるなんて予想外だ。一体どう答えればいいのだろう。さすがに「弟です」とは言えないし……。

 悩んだ挙句、アクセルは苦し紛れにこう言った。

「あなたの身内だよ」
「身内……?」
「そう、遠い親戚みたいな……」
「……ふーん。じゃあそういうことにしといてあげる」

 疑わしい顔をしつつも、兄はそれ以上の追究をやめて再び草を毟り始めた。

 ちょっと苦笑し、アクセルも隣に座り込んだ。
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