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第7章~ラグナロクの最中に~

第73話

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「じゃあ行ってくるね。怪物が出たら、下手に戦おうとせずすぐに逃げるんだよ」
「だからわかってるって。兄上も気をつけてくれ」

 未だに心配そうだったが、兄はようやく不安定な橋を渡って行った。

 アクセルは兄の姿が見えなくなるまで、橋の近くで兄を見送った。

 ――というか、兄上こそ御守り持ってなかったけど大丈夫なのか?

 監視塔に行くだけだから大丈夫だと思うが……気休めの御守りくらい、自分もあげればよかったかもしれない。

 今更遅いけど……と思っていると、ピピが身体をすり寄せてきた。

「ぴー……」
「いや、まあ大丈夫だろ。俺たちは安全そうな場所を探して、そこで待機してようか」

 こくこくと頷いてくるピピ。

 アクセルは橋に背を向け、周囲を見回した。

 周りはひたすら薄暗い荒野が広がっているだけで、安全そうな洞穴はない。遠くの方に山は見えるが、あんな遠くまで行ってしまったら兄が戻ってきた時に困るだろうし、逆に変な神獣と遭遇してしまいそうだ。

 さて、どうしたものか……。

 ――まあ、ないものはしょうがないか。

 安全な場所ではないが、これだけ視界が開けているのなら敵が近づいてきた時もすぐに気付けるはず。ヤバい相手でも逃げ遅れることはないだろう……多分。

 そう思い直し、アクセルはなるべく座りやすい場所を探すことにした。何かあったらすぐ合流できるよう、念のために橋の近くに腰を下ろす。ピピもすぐ隣に寝そべってきた。
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