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第6章~ラグナロクの始まり~

第141話

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 それは……今のアクセルには、とても虚しいことのように思えた。

 一人で悶々としていると、兄がこんなことを言い出した。

「……とまあ、これはあくまで建前だよ。今は逃げ場がないけど、万が一の緊急避難口は用意しているところ。敵に襲撃されたくらいで、地下施設にいた戦士がまるまる全滅っていうのも効率が悪いしさ」
「だ、だよな……」
「それにねぇ……オーディン様が本当に、自分以外の全てを滅ぼすためにラグナロクを始めたんだとしたら、戦いに勝ったところで滅ぼされるのがオチだよ。それじゃ、何のために戦うのかわからない」
「え……? 自分以外の全てを滅ぼすって……」

 飛躍した考えに驚愕していると、兄は真面目な口調で説明してくれた。

 アクセルが気を失っている間、泉でジークやユーベル、ミューと話し合っていたこと。これまで経験してきたことや手に入れた情報、それらを総合して考えた結果、『全滅説』に落ち着いたということ。でもこの先どう行動するかまではハッキリ決まっていないこと……。

「そんな……。もしそれが本当だとしたら、俺たちは一体何のために……」

 どんな戦にも、「この戦いが終わったら〇〇できる」みたいな、ちょっとした希望がある。

 この戦いが終わったら家に帰れる、美味しいご飯が食べられる、思いっきりショッピングできる、平和な生活を送れる……等々。

 だから辛い戦にも参加できるし、生き抜くための原動力になるわけだ。
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