転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第6章~ラグナロクの始まり~

第118話

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 やれやれと息を吐くユーベル。彼の自慢の髪は戦中のせいか、少しパサついていた。ファッションや美容にこだわりのある貴族サマにとっては、ラグナロクは少々不便なのかもしれない。

「さてと、じゃあ俺たちもそろそろ戻るかね。腹が減っては戦はできんって言うしな」

 と、ジークがザバッと泉から出る。彼は下着一枚で泉に入っていたようだが、その見事な肉体にほう……と溜息が漏れた。リーチの長い槍をぶんぶん振り回しているような人だから、腕も立派だし背筋もよく鍛えられている。

 ――……なんか不安になってきた。

 こっそり自分の身体を見下ろす。人質の期間もある程度鍛錬していたとはいえ、ヴァルハラで頑張っていた時と比べると明らかに鍛錬の量は少なくなっていた。山の中で大蛇と戦った時も、若干素振りの速度が落ちている気がしてヤバいなと思ったものだ。

 今上位ランカーと肉体を比べられたら、恥ずかしくて立っていられないかもしれない。

「僕もお腹空いたー。ご飯食べるー。今日のご飯何だっけ?」

 ミューもバシャバシャと泉から上がっていく。彼の肉体はまだ見たことがないが、身体は小さくてもよく鍛えてるんだろうなと思った。脚の筋肉が綺麗だから間違いない。

 今実力を落とすのは致命的なんだけどな……と思いつつ、アクセルも泉から出ようとした。

 ところが……。

「……うわっ!」

 兄に腕を掴まれ、泉の中に引き戻されてしまう。そのまま背後から抱き締められ、アクセルは首を捻って兄を見た。
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