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第6章~ラグナロクの始まり~

第105話(フレイン視点)

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「ぴー!」

 ピピが泉のきわで急に足を止めた。止まった反動で、フレインとアクセルは泉に向かって投げ出された。

 フレインは片腕でしっかり弟を抱えると、そのまま泉に飛び込んだ。

 ザブン、と大きな音がしたが、すぐさま音が水の膜に覆われる。飛び込んだ表紙に細かな泡が立ち、もこもこと身体中に纏わりついた。それが少しくすぐったかった。

 ――アクセル……!

 水中で弟の顔を覗き込む。唇からぽこん、と気泡が吐き出され、呼吸は止まっていないことがわかった。何とか間に合ったようだ。

 フレインは一度水面に浮上し、弟が溺れないよう気をつけながら泉の際まで泳いでいった。そして浅瀬に身体を浸しながら、改めてピピに礼を言った。

「ピピちゃん、ありがとう。おかげで何とかなりそうだよ」
「ぴー」

 ピピも嬉しそうに一声鳴いた。

 フレインはしばらく泉に浸かり、弟が目覚めるのを待った。

 ――これから徐々に、こういう戦いが増えていくわけか……。

 既にラグナロクは始まっているというから、先程の大蛇との戦闘もラグナロクの一部と考えていいと思う。戦中に所用で山に入ったら、敵兵と遭遇してバトルした……みたいなところだろうか。まあよくあることだ。

 ――しかし、いくら泉が大きくなったって、毎回これじゃ身が持たないな……。

 たまたま遭遇した蛇にすら、片腕を失ってしまうようなレベルなのだ。弟に至っては瀕死の重傷を負ってしまった。これが本格的な巨人相手になったら……と考えると、うっすら背筋が寒くなってくる。
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