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第6章~ラグナロクの始まり~
第88話
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「あーあー……大丈夫? 気をつけないとだめだよ」
「だ、大丈夫だ……これくらい、たいした怪我じゃない」
「まあ、私たちはもっとすごい怪我をすることも多いしね。でもお前、昔から全然変わってないなぁ」
「? どういうことだ?」
「昔も、私のことを追いかけてよく転んで、私が駆け寄るところまでがセットだったじゃないか」
「そ、そうだな……。これはもう、一生直らないかもしれない」
「そうだね。でも、転んで泣かなくなったことは進歩かなぁ」
「泣くわけないだろ。子供じゃないんだから」
アクセルは何事もなかったかのように起き上がり、パタパタと服を叩いた。
大蛇との戦いで随分汚れてしまった。全身綺麗に洗濯したい。というか、着替えたい。
「それにしても随分遅かったね。何してたの? 髪もボサボサだし、葉っぱついてるし」
「兄上、早くヴァルハラに帰ろう。ロキの息子がこの辺をうろついているかもしれないんだ」
「……どういうこと?」
アクセルは、今までのことを簡単に話して聞かせた。
山菜を採っていたら大蛇が襲ってきたこと。その大蛇はロキの息子かもしれないこと。何とか撤退させたが、また追いかけてくるかもしれないこと……等々。
「ありゃ……それはよくないね。お前、目をつけられちゃったんじゃない?」
「そうかもしれない。だから兄上、早くヴァルハラに……」
「まあ落ち着きなさい。そんなに急かされても、腹が減っては元気が出ないよ。とりあえず魚を食べよう。もう少しで焼けるから、お前は水浴びしておいで」
「え、ちょっ……」
「だ、大丈夫だ……これくらい、たいした怪我じゃない」
「まあ、私たちはもっとすごい怪我をすることも多いしね。でもお前、昔から全然変わってないなぁ」
「? どういうことだ?」
「昔も、私のことを追いかけてよく転んで、私が駆け寄るところまでがセットだったじゃないか」
「そ、そうだな……。これはもう、一生直らないかもしれない」
「そうだね。でも、転んで泣かなくなったことは進歩かなぁ」
「泣くわけないだろ。子供じゃないんだから」
アクセルは何事もなかったかのように起き上がり、パタパタと服を叩いた。
大蛇との戦いで随分汚れてしまった。全身綺麗に洗濯したい。というか、着替えたい。
「それにしても随分遅かったね。何してたの? 髪もボサボサだし、葉っぱついてるし」
「兄上、早くヴァルハラに帰ろう。ロキの息子がこの辺をうろついているかもしれないんだ」
「……どういうこと?」
アクセルは、今までのことを簡単に話して聞かせた。
山菜を採っていたら大蛇が襲ってきたこと。その大蛇はロキの息子かもしれないこと。何とか撤退させたが、また追いかけてくるかもしれないこと……等々。
「ありゃ……それはよくないね。お前、目をつけられちゃったんじゃない?」
「そうかもしれない。だから兄上、早くヴァルハラに……」
「まあ落ち着きなさい。そんなに急かされても、腹が減っては元気が出ないよ。とりあえず魚を食べよう。もう少しで焼けるから、お前は水浴びしておいで」
「え、ちょっ……」
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