648 / 2,750
第6章~ラグナロクの始まり~
第61話
しおりを挟む
弟がピンチに陥れば危険を顧みず助けてくれるし、自分と同じ目に遭わないようにとヴァルハラの治安を整備してくれた。他にも数えきれないほど世話になっている。
でもそれは……アクセルがいなければ、全部起こらなかったことだ。
一人っ子の寂しさはあったかもしれないが、弟さえいなければ兄はもっと平穏でのんびりした生活が送れたはずなのだ。「なんで私ばかりがこんな目に」、「弟がいるせいでいつも私が貧乏くじ」と感じることもあったと思う。
アクセルがもっとしっかりしていれば、兄の手を煩わせることもなかったのだろうが……。
――結局、全部俺のせいか……。
いや、そんなこと最初からわかっていた。
兄に頼らないようにしようと心掛けたところで、ピンチになるとつい兄を呼んでしまう。兄の負担を理解しつつも、兄に甘えるのをやめられない。以前もどこかで言われたが、これは弟の本能みたいなもので、意識して直すことは不可能だ。
ならば、今のアクセルにできることは……。
「で、どうしようか。このまま神殿探索してみる? それとも、他の場所でお前の服を探す?」
「あ、ああ……そうだな、どうしよう」
「私はどっちでもいいよ。身体もだんだん軽くなってきたし、今ならどこへでも行ける気がするんだ」
「……そうか。それじゃあ、まずは服を調達したいな……。さすがに胸元がビリビリのままじゃ、いざという時に困るし……」
「わかった。じゃあ少し神殿を探索してから別の場所に行こうか。ここにも神父さんが着ていそうな衣装があるかもしれないし」
「……そうだな」
小さく頷き、兄を見つめる。
でもそれは……アクセルがいなければ、全部起こらなかったことだ。
一人っ子の寂しさはあったかもしれないが、弟さえいなければ兄はもっと平穏でのんびりした生活が送れたはずなのだ。「なんで私ばかりがこんな目に」、「弟がいるせいでいつも私が貧乏くじ」と感じることもあったと思う。
アクセルがもっとしっかりしていれば、兄の手を煩わせることもなかったのだろうが……。
――結局、全部俺のせいか……。
いや、そんなこと最初からわかっていた。
兄に頼らないようにしようと心掛けたところで、ピンチになるとつい兄を呼んでしまう。兄の負担を理解しつつも、兄に甘えるのをやめられない。以前もどこかで言われたが、これは弟の本能みたいなもので、意識して直すことは不可能だ。
ならば、今のアクセルにできることは……。
「で、どうしようか。このまま神殿探索してみる? それとも、他の場所でお前の服を探す?」
「あ、ああ……そうだな、どうしよう」
「私はどっちでもいいよ。身体もだんだん軽くなってきたし、今ならどこへでも行ける気がするんだ」
「……そうか。それじゃあ、まずは服を調達したいな……。さすがに胸元がビリビリのままじゃ、いざという時に困るし……」
「わかった。じゃあ少し神殿を探索してから別の場所に行こうか。ここにも神父さんが着ていそうな衣装があるかもしれないし」
「……そうだな」
小さく頷き、兄を見つめる。
0
お気に入りに追加
840
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……
鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。
そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。
これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。
「俺はずっと、ミルのことが好きだった」
そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。
お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ!
※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・不定期
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる