633 / 2,678
第6章~ラグナロクの始まり~
第46話
しおりを挟む
――と言っても、ホズ様は本当にポイッと投げていただけだったんだけどな……。
それ以外に変わったところはなかった。バルドルに種を投げた瞬間、ヤドリギはミストルティンに変形したのだ。あの時は惨劇を止めるのに必死だったから、見落としたとは思えない。
だとしたら、目に見えないものが関係していた可能性が高いが……目に見えないものとは一体……?
「ねえ、何か考えついた? お兄ちゃん手持ち無沙汰なんだけど」
と、再び兄が口を挟んでくる。
「もうさっきの原始的な方法に戻す? 手を動かした方が早くない? このままじゃ時間だけが無駄になって……」
「わかったから、ちょっと黙っててくれ」
さすがにイラッとしてそう言い返したら、いきなり岩にピシッとヒビが入った。
えっ、と思ってヤドリギを突っ込んだ穴を見た途端、鋭利な枝が岩肌を突き破ってこちらに伸びてきた。
「おわっ!」
危うくつつかれそうになり、慌てて身を引く。
飛び退いて様子を見守っていると、岩から生えてきた枝は四方八方にニョキニョキ伸び、岩全体にまとわりついた。
枝に締め付けられた岩はミシミシ音を立て、やがてメロンのように全面にヒビが入り、その後バキバキに砕け散った。
「…………」
仕事を終えたと言わんばかりに、枝はシュルシュル縮んで芽に戻っていく。
アクセルはそっと芽になったヤドリギに近づき、少しかがんで砕けた岩を眺めた。岩というより、細かく粉砕された砂状態だった。
「……なんかすごいね」
「そ、そうだな……」
兄も少し度肝を抜かされたみたいだ。アクセルも、まさかここまで粉々にしてくれるとは思っていなかった。
それ以外に変わったところはなかった。バルドルに種を投げた瞬間、ヤドリギはミストルティンに変形したのだ。あの時は惨劇を止めるのに必死だったから、見落としたとは思えない。
だとしたら、目に見えないものが関係していた可能性が高いが……目に見えないものとは一体……?
「ねえ、何か考えついた? お兄ちゃん手持ち無沙汰なんだけど」
と、再び兄が口を挟んでくる。
「もうさっきの原始的な方法に戻す? 手を動かした方が早くない? このままじゃ時間だけが無駄になって……」
「わかったから、ちょっと黙っててくれ」
さすがにイラッとしてそう言い返したら、いきなり岩にピシッとヒビが入った。
えっ、と思ってヤドリギを突っ込んだ穴を見た途端、鋭利な枝が岩肌を突き破ってこちらに伸びてきた。
「おわっ!」
危うくつつかれそうになり、慌てて身を引く。
飛び退いて様子を見守っていると、岩から生えてきた枝は四方八方にニョキニョキ伸び、岩全体にまとわりついた。
枝に締め付けられた岩はミシミシ音を立て、やがてメロンのように全面にヒビが入り、その後バキバキに砕け散った。
「…………」
仕事を終えたと言わんばかりに、枝はシュルシュル縮んで芽に戻っていく。
アクセルはそっと芽になったヤドリギに近づき、少しかがんで砕けた岩を眺めた。岩というより、細かく粉砕された砂状態だった。
「……なんかすごいね」
「そ、そうだな……」
兄も少し度肝を抜かされたみたいだ。アクセルも、まさかここまで粉々にしてくれるとは思っていなかった。
0
お気に入りに追加
830
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
悪役の弟に転生した僕はフラグをへし折る為に頑張ったけど監禁エンドにたどり着いた
霧乃ふー 短編
BL
「シーア兄さまぁ♡だいすきぃ♡ぎゅってして♡♡」
絶賛誘拐され、目隠しされながら無理矢理に誘拐犯にヤられている真っ最中の僕。
僕を唯一家族として扱ってくれる大好きなシーア兄様も助けに来てはくれないらしい。
だから、僕は思ったのだ。
僕を犯している誘拐犯をシーア兄様だと思いこめばいいと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる