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第5章~神々の国へ~
第102話
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「じゃ、じゃあ……落ち着いて、屋敷に戻るぞ」
「うん、それがいいよ。では行こうか」
しっかり頷き、アクセルは兄と一緒にゲートをくぐった。
世界樹の中は白い霧で包まれていた。そこには前後左右に無数の扉があり、近くまで行って見ないとどこがどこに繋がっているのかわからない。
来る時は自動的にヴァルハラに辿り着いたが、戻る時は正しい扉を選ばないと帰れないようになっているみたいだ。
――本当に兄上がいてくれてよかった……。
心底そう思いつつ、アクセルは片っ端から扉を見て回った。
何かしらの印が出ていればわかりやすかったのだが、世界樹の扉はそこまで親切ではないようで、向こうの世界を覗いてみないとどこに繋がっているのか判断できなかった。
――バルドル様の屋敷ってどこだよ……。
急いで戻らなければならないのに、帰り道がわからないと余計に焦ってしまう。
冷や汗をかきそうになっていると、
「落ち着くんだよ」
兄がぐっ……と腕を握ってきた。力がこもっていて痛いくらいだった。
それでかえって目が覚めた。
「うーん、ここかなぁ」
兄が何気なくとある扉を開ける。
すると、その先に馴染みのある景色が見えてきた。何もない平野の先に、一軒の城がぽつんと建っている。バルドルと生活している屋敷だ。
「あっ、ここだ……」
「おや、当たりかい? じゃあ行こうか」
兄に引っ張られ、アクセルは扉の先に踏み込んだ。
そこは今まで生活していた世界に間違いなく、自分が作った赤いポストもしっかり立っていた。
「うん、それがいいよ。では行こうか」
しっかり頷き、アクセルは兄と一緒にゲートをくぐった。
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――本当に兄上がいてくれてよかった……。
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――バルドル様の屋敷ってどこだよ……。
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すると、その先に馴染みのある景色が見えてきた。何もない平野の先に、一軒の城がぽつんと建っている。バルドルと生活している屋敷だ。
「あっ、ここだ……」
「おや、当たりかい? じゃあ行こうか」
兄に引っ張られ、アクセルは扉の先に踏み込んだ。
そこは今まで生活していた世界に間違いなく、自分が作った赤いポストもしっかり立っていた。
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