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第5章~神々の国へ~

第88話

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「俺とお前はよく似ているが、違うところもたくさんある。少なくとも俺には、お前のような純粋さはない。この先いろいろなことがあるだろうが、その気持ちは忘れてくれるな」
「……はい……」
「ではな。機会があったらまた会おう」

 そう言って、今度こそホズはゲートをくぐっていった。

 アクセルはバルドルと共に、ゲートが完全に閉じるまでその場で見送っていた。

「あーあ、いなくなっちゃった。またしばらく寂しくなるなぁ」

 バルドルが残念そうに口を尖らせる。こういう仕草が、神にそぐわずお茶目だなと思う。

 アクセルは微笑みながら答えた。

「また二ヶ月後に会えますよ」
「うん、そうだね。だから今回はいつもより寂しくないよ」
「俺も二ヶ月後が楽しみです」

 兄に会うのはもちろん、できればホズにも挨拶をしたい。

 ――純粋さを忘れるな……か。

 自分が純粋かどうかはわからないけど、この性格は早々変わらないと思う。

 アクセルは戻っていくバルドルの後ろをついて歩きながら、また鍛錬に勤しもうと誓った。

***

 それから二ヶ月が経った。

 アクセルは日課の手紙をポストに投函し、ランニングしながらバルドルの屋敷に戻った。

 ――ていうか、今日は手紙出す必要なかったな。

 いつもの習慣でつい書いてしまったが、今日はヴァルハラで神々のパーティーが開かれる。全世界のゲートがオープンになるので、アクセルもヴァルハラに帰れるのだ。

 つまり、直接兄に会えるということである。

 ――早く会いたい……。

 いつもよりペースを上げて帰り、自室に駆け込んで急いで汗を流して身支度を整えた。
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