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第5章~神々の国へ~
第20話
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上位ランカーと同居するには、自分もそれなりにランクを上げないといけないのだと思い込んでいた。狩りやお泊りにもそれなりのランクが必要だから、当然同居にも一定のランクが必要だろうと。
しかし、よくよく考えてみればランクの低い新人戦士は、専用の寮で共同生活を送っているし、貴族出身のユーベルは身の回りの世話をさせる下位ランカーを何人か屋敷に住まわせている。
もっとも、それは「同居」ではなく、一種の特別措置だと認識していたのだが……。
――それじゃあ、手続きさえしてしまえば兄上と同居できたってことか?
自分の浅はかさに脱力してしまう。
こんなことなら、もっとよく「ヴァルハラのルールブック」とやらを読んでおくんだった。というか、ルールブックがあること自体知らなかった。何でそんな大事なものが存在していることが周知されていないんだ。誰か教えてくれればよかったのに。
「あああ、もう!」
腹立ち紛れにゴン、とテーブルに頭をぶつけたら、思った以上に強く打ってしまって額にたんこぶができた。ちょっと痛かった。
「え、大丈夫?」
「……すみません、ちょっと荒ぶりました。こっちの問題なので、お気になさらず」
笑ってごまかしたが、内心悔しくてしょうがなかった。ランクに関係ないことを知っていれば、もっと早く兄とひとつ屋根の下で暮らせたのに!
――ヴァルハラに帰ったら、いの一番に手続きしてやる!
念のために、後でバルドルから「ヴァルハラのルールブック」とやらを貸してもらおう……と思いつつ、アクセルはシチューをかき込んだ。
しかし、よくよく考えてみればランクの低い新人戦士は、専用の寮で共同生活を送っているし、貴族出身のユーベルは身の回りの世話をさせる下位ランカーを何人か屋敷に住まわせている。
もっとも、それは「同居」ではなく、一種の特別措置だと認識していたのだが……。
――それじゃあ、手続きさえしてしまえば兄上と同居できたってことか?
自分の浅はかさに脱力してしまう。
こんなことなら、もっとよく「ヴァルハラのルールブック」とやらを読んでおくんだった。というか、ルールブックがあること自体知らなかった。何でそんな大事なものが存在していることが周知されていないんだ。誰か教えてくれればよかったのに。
「あああ、もう!」
腹立ち紛れにゴン、とテーブルに頭をぶつけたら、思った以上に強く打ってしまって額にたんこぶができた。ちょっと痛かった。
「え、大丈夫?」
「……すみません、ちょっと荒ぶりました。こっちの問題なので、お気になさらず」
笑ってごまかしたが、内心悔しくてしょうがなかった。ランクに関係ないことを知っていれば、もっと早く兄とひとつ屋根の下で暮らせたのに!
――ヴァルハラに帰ったら、いの一番に手続きしてやる!
念のために、後でバルドルから「ヴァルハラのルールブック」とやらを貸してもらおう……と思いつつ、アクセルはシチューをかき込んだ。
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