転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第4章~更なる力を求めて~

第2話

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「ところで兄上……ちょっと相談があるんだが」
「何?」
「狂戦士モードを安定させるには、どうすればいいんだ?」
「安定って? コントロールしたいってこと?」
「あ、ああ……俺は、その……まだ上手く狂戦士になれないから……」

 ちょっと目を反らしつつ、声を低くする。

 自分の欠点を自ら口にするのはやや心苦しかったが、この期に至ってはやむを得ない。

「んー……そうだなぁ。いろんな方法があるけど、洞窟を歩いてみるとか」
「……洞窟?」

 意味がわからず首をかしげると、兄は顎に手を当てた。

「街外れの山に、長い洞窟があってね。中に入ると光も音も届かなくて、ずーっと無音の闇が続いてるんだ。そこを一日かけて歩いて抜けるの。意外と大変だけど、それを一度やると生まれ変わったみたいにメンタルが強くなるんだったかな」
「そうなのか。それはいいな」

 一人で黙々歩くだけなら、誰も傷つける心配はないし、兄の手を煩わせることもない。

 自分のランキングを確認したら行ってこようかな……と思っていると、兄がニヤリと口角を上げた。

「お前、結構軽く考えてるでしょ。光も音もないところを一日中歩き続けるって大変だよ? メンタル弱い人だと発狂しちゃうかも」
「えっ? そんなに?」
「だってさ、お前、目を閉じて耳を塞いだままでどれくらい我慢できる?」
「どれくらいって……」

 言われても想像できない。今までそんな実験はしたことがなかった。

 すると兄は背後に回ってきて、両手で耳を塞いできた。
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