315 / 2,678
第3章~新たなる試練~
第192話
しおりを挟む
「すいません、あんたのことは嫌いじゃなかったんですよ。正直、実行するかどうか最後まで迷いました。でもフレインのことはやっぱり許せないんで。親しい人を奪われた気持ち、少しでも味わわせてやりたかったんです」
「……そうか……」
「企みは失敗しちゃいましたけど、少しはヒヤヒヤさせられましたかね。あんたが馬鹿正直で助かりましたよ。少しは疑えばいいのに、まんまと罠に引っかかってくれて」
「……いや、多少は疑ってたよ」
「えっ……?」
疑っていたのにロシェについていったのは、「何も起こらないで欲しい」という願いが根底にあったからだ。「罠にかけるために俺を誘ったわけではない」という可能性に賭けたかったからだ。
結果的には残念なことになってしまったけれど、本当は最後までロシェを信じていたかったのだ。
「で、こいつら結局どうすんだ? ヴァルキリーたちに突き出すか?」
ジークが言うので、兄が代わりに答えた。
「いいんじゃない、それで。私たちが手を下すのももったいないし。首を刎ねたところで、ヴァルハラではあまり意味ないからね」
「だな。じゃあちょっと行って来るわ」
「なんだー。久しぶりに首を切れるかと思ったのにー」
ミューが少し唇を尖らせ、首斬り鎌を背負う。
そのまま三人はジークたちに連行されていった。
「許せない……か」
思わずポツリと呟く。
アクセルがヴァルハラにいなかった十一年間に、兄が何をしていたのかはちゃんと聞いていない。相当乱れた生活をしていたのは想像できるけど、あまり積極的に聞きたい内容でもなさそうなので、今まであえて聞かずにいた。
だけど、何も知らないのもよくないのかもしれない。
「……そうか……」
「企みは失敗しちゃいましたけど、少しはヒヤヒヤさせられましたかね。あんたが馬鹿正直で助かりましたよ。少しは疑えばいいのに、まんまと罠に引っかかってくれて」
「……いや、多少は疑ってたよ」
「えっ……?」
疑っていたのにロシェについていったのは、「何も起こらないで欲しい」という願いが根底にあったからだ。「罠にかけるために俺を誘ったわけではない」という可能性に賭けたかったからだ。
結果的には残念なことになってしまったけれど、本当は最後までロシェを信じていたかったのだ。
「で、こいつら結局どうすんだ? ヴァルキリーたちに突き出すか?」
ジークが言うので、兄が代わりに答えた。
「いいんじゃない、それで。私たちが手を下すのももったいないし。首を刎ねたところで、ヴァルハラではあまり意味ないからね」
「だな。じゃあちょっと行って来るわ」
「なんだー。久しぶりに首を切れるかと思ったのにー」
ミューが少し唇を尖らせ、首斬り鎌を背負う。
そのまま三人はジークたちに連行されていった。
「許せない……か」
思わずポツリと呟く。
アクセルがヴァルハラにいなかった十一年間に、兄が何をしていたのかはちゃんと聞いていない。相当乱れた生活をしていたのは想像できるけど、あまり積極的に聞きたい内容でもなさそうなので、今まであえて聞かずにいた。
だけど、何も知らないのもよくないのかもしれない。
0
お気に入りに追加
830
あなたにおすすめの小説
愛されなかった俺の転生先は激重執着ヤンデレ兄達のもと
糖 溺病
BL
目が覚めると、そこは異世界。
前世で何度も夢に見た異世界生活、今度こそエンジョイしてみせる!ってあれ?なんか俺、転生早々監禁されてね!?
「俺は異世界でエンジョイライフを送るんだぁー!」
激重執着ヤンデレ兄達にトロトロのベタベタに溺愛されるファンタジー物語。
注※微エロ、エロエロ
・初めはそんなエロくないです。
・初心者注意
・ちょいちょい細かな訂正入ります。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
僕のお兄様がヤンデレなんて聞いてない
ふわりんしず。
BL
『僕…攻略対象者の弟だ』
気付いた時には犯されていました。
あなたはこの世界を攻略
▷する
しない
hotランキング
8/17→63位!!!から48位獲得!!
8/18→41位!!→33位から28位!
8/19→26位
人気ランキング
8/17→157位!!!から141位獲得しました!
8/18→127位!!!から117位獲得
姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?
溺愛お義兄様を卒業しようと思ったら、、、
ShoTaro
BL
僕・テオドールは、6歳の時にロックス公爵家に引き取られた。
そこから始まった兄・レオナルドの溺愛。
元々貴族ではなく、ただの庶子であるテオドールは、15歳となり、成人まで残すところ一年。独り立ちする計画を立てていた。
兄からの卒業。
レオナルドはそんなことを許すはずもなく、、
全4話で1日1話更新します。
R-18も多少入りますが、最後の1話のみです。
運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました
十夜 篁
BL
初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。
そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。
「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!?
しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」
ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意!
「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」
まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…?
「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」
「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」
健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!?
そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…。
《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる