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第3章~新たなる試練~

第192話

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「すいません、あんたのことは嫌いじゃなかったんですよ。正直、実行するかどうか最後まで迷いました。でもフレインのことはやっぱり許せないんで。親しい人を奪われた気持ち、少しでも味わわせてやりたかったんです」
「……そうか……」
「企みは失敗しちゃいましたけど、少しはヒヤヒヤさせられましたかね。あんたが馬鹿正直で助かりましたよ。少しは疑えばいいのに、まんまと罠に引っかかってくれて」
「……いや、多少は疑ってたよ」
「えっ……?」

 疑っていたのにロシェについていったのは、「何も起こらないで欲しい」という願いが根底にあったからだ。「罠にかけるために俺を誘ったわけではない」という可能性に賭けたかったからだ。

 結果的には残念なことになってしまったけれど、本当は最後までロシェを信じていたかったのだ。

「で、こいつら結局どうすんだ? ヴァルキリーたちに突き出すか?」

 ジークが言うので、兄が代わりに答えた。

「いいんじゃない、それで。私たちが手を下すのももったいないし。首を刎ねたところで、ヴァルハラではあまり意味ないからね」
「だな。じゃあちょっと行って来るわ」
「なんだー。久しぶりに首を切れるかと思ったのにー」

 ミューが少し唇を尖らせ、首斬り鎌を背負う。

 そのまま三人はジークたちに連行されていった。

「許せない……か」

 思わずポツリと呟く。

 アクセルがヴァルハラにいなかった十一年間に、兄が何をしていたのかはちゃんと聞いていない。相当乱れた生活をしていたのは想像できるけど、あまり積極的に聞きたい内容でもなさそうなので、今まであえて聞かずにいた。

 だけど、何も知らないのもよくないのかもしれない。
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