312 / 2,774
第3章~新たなる試練~
第189話
しおりを挟む
「その……助けてくれてありがとうございました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「……ありゃ? 何でそんな他人行儀なの? 戦闘中に変なところに頭ぶつけた?」
「そっ……」
あまりにいつも通りの口調で言われ、逆に拍子抜けしてしまった。なんだその言い草は。こっちはあなたの怒りを買わないよう、かなり気を遣ったつもりなのに。
やや眉を顰め、アクセルは地面に投げ捨てるように言う。
「……兄上は、俺のこと怒ってるんだろう?」
「あー……あれか。えっと、何というかね、説明すると長くなるんだけど……」
「……? どういうことだ?」
歯切れの悪い兄を訝しんでいると、ユーベルの他にジークとミューが、とある三人組を連れてやってきた。両手にお縄を頂戴しているのは、ウルフ、ビラク、それにロシェだった。
「おーい、フレイン。こいつらどうするよ?」
「許可してくれたら、今すぐ三人まとめて首落としてあげるよー」
ジークが縄を持ち、ミューが嬉々として大鎌を構えている。
ますますわけがわからなくなったアクセルに、兄は苦笑して答えた。
「あのロシェってやつが最近やたらとお前に近づいてくるから、どうもおかしいなと思っていろいろ様子を窺っていたんだ。ジークたちにも手伝ってもらってね」
「え……そうなのか?」
兄とジークたちを交互に見たら、ミューが「うんうん」と頷いてくれた。
再度兄を見返し、口を開く。
「様子を窺っていたって、一体どういう……?」
「要するに、一度お前と距離をとって隙を窺っていたんだよ」
「えっ……?」
思わず目が丸くなる。兄は続けて言った。
「……ありゃ? 何でそんな他人行儀なの? 戦闘中に変なところに頭ぶつけた?」
「そっ……」
あまりにいつも通りの口調で言われ、逆に拍子抜けしてしまった。なんだその言い草は。こっちはあなたの怒りを買わないよう、かなり気を遣ったつもりなのに。
やや眉を顰め、アクセルは地面に投げ捨てるように言う。
「……兄上は、俺のこと怒ってるんだろう?」
「あー……あれか。えっと、何というかね、説明すると長くなるんだけど……」
「……? どういうことだ?」
歯切れの悪い兄を訝しんでいると、ユーベルの他にジークとミューが、とある三人組を連れてやってきた。両手にお縄を頂戴しているのは、ウルフ、ビラク、それにロシェだった。
「おーい、フレイン。こいつらどうするよ?」
「許可してくれたら、今すぐ三人まとめて首落としてあげるよー」
ジークが縄を持ち、ミューが嬉々として大鎌を構えている。
ますますわけがわからなくなったアクセルに、兄は苦笑して答えた。
「あのロシェってやつが最近やたらとお前に近づいてくるから、どうもおかしいなと思っていろいろ様子を窺っていたんだ。ジークたちにも手伝ってもらってね」
「え……そうなのか?」
兄とジークたちを交互に見たら、ミューが「うんうん」と頷いてくれた。
再度兄を見返し、口を開く。
「様子を窺っていたって、一体どういう……?」
「要するに、一度お前と距離をとって隙を窺っていたんだよ」
「えっ……?」
思わず目が丸くなる。兄は続けて言った。
0
お気に入りに追加
843
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。

転生したら弟がブラコン重傷者でした!!!
Lynne
BL
俺の名前は佐々木塁、元高校生だ。俺は、ある日学校に行く途中、トラックに轢かれて死んでしまった...。
pixivの方でも、作品投稿始めました!
名前やアイコンは変わりません
主にアルファポリスで投稿するため、更新はアルファポリスのほうが早いと思います!
ド平凡な俺が全員美形な四兄弟からなぜか愛され…執着されているらしい
パイ生地製作委員会
BL
それぞれ別ベクトルの執着攻め4人×平凡受け
★一言でも感想・質問嬉しいです:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion
更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です
X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる