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第3章~新たなる試練~
第168話
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――ああもう、ダメだダメだ!
余計なことを考えちゃいけない。どうせネガティブ思考に嵌っていくだけなのだから。別のことをして気を紛らわせていた方がいい。
アクセルは作っておいたイノシシの肉まんを温め直し、他のおかずも合わせて夕食を作った。ピピにもイノシシの肉まんを食べさせ、ついでに野菜とミルクも与えた。
――明日は死合いがあるんだったか……。
相手は誰だっけ。あまり見かけない名前だった。ランキングも三桁だったと思う。自分より上位ではないので勝ってもポイントはさほど入らないが、仕事みたいなものなのでサボるのは御法度だ。
あまり気は進まないが……。
「……そろそろ休むか、ピピ?」
「ぴ?」
「明日は俺、死合いがあるんだ。その前に山に送っていってあげるから」
「ぴー」
ピピが不満げな鳴き声を上げた。そう言えば以前別れる時もかなり渋られて、髪を引っ張られたり指を噛まれたりしたものだ。
今回もまた拗ねられそうだが、どんなに鳴かれても自宅でピピを飼うことはできない。最終的にカンガルーより大きくなってしまっては、自宅で飼うのは不可能だ。
「ごめんな、いっぱい慰めてくれたのに。また山に会いに行くから許してくれ」
「ぴー……」
宥めるように頭を撫でていたら、ピピはしょぼんと耳を垂らし、ベッド脇の寝床に丸くなった。ちょっと苦笑してアクセルも就寝用のジャージに着替え、ベッドに入った。
――せめて、夢の中では兄上に会えるといいな……。
そう思いながら、アクセルは目を閉じた。
そのまま眠りに突入したのだが、かなり妙な夢を見た。兄も登場してくれたものの、自分が望んでいたシチュエーションではなかった。
余計なことを考えちゃいけない。どうせネガティブ思考に嵌っていくだけなのだから。別のことをして気を紛らわせていた方がいい。
アクセルは作っておいたイノシシの肉まんを温め直し、他のおかずも合わせて夕食を作った。ピピにもイノシシの肉まんを食べさせ、ついでに野菜とミルクも与えた。
――明日は死合いがあるんだったか……。
相手は誰だっけ。あまり見かけない名前だった。ランキングも三桁だったと思う。自分より上位ではないので勝ってもポイントはさほど入らないが、仕事みたいなものなのでサボるのは御法度だ。
あまり気は進まないが……。
「……そろそろ休むか、ピピ?」
「ぴ?」
「明日は俺、死合いがあるんだ。その前に山に送っていってあげるから」
「ぴー」
ピピが不満げな鳴き声を上げた。そう言えば以前別れる時もかなり渋られて、髪を引っ張られたり指を噛まれたりしたものだ。
今回もまた拗ねられそうだが、どんなに鳴かれても自宅でピピを飼うことはできない。最終的にカンガルーより大きくなってしまっては、自宅で飼うのは不可能だ。
「ごめんな、いっぱい慰めてくれたのに。また山に会いに行くから許してくれ」
「ぴー……」
宥めるように頭を撫でていたら、ピピはしょぼんと耳を垂らし、ベッド脇の寝床に丸くなった。ちょっと苦笑してアクセルも就寝用のジャージに着替え、ベッドに入った。
――せめて、夢の中では兄上に会えるといいな……。
そう思いながら、アクセルは目を閉じた。
そのまま眠りに突入したのだが、かなり妙な夢を見た。兄も登場してくれたものの、自分が望んでいたシチュエーションではなかった。
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