288 / 2,678
第3章~新たなる試練~
第165話
しおりを挟む
「どうした、ピピ? 散歩でも行きたいのか?」
「ぴー」
「……違う? じゃあ肉まんの味見か? もう少しでできるから、いい子で待っててくれ」
「ぴー……」
そうじゃない、とピピは首を振り、再びキッチンを出て行く。何をするのかと思ったら、今度は暖炉用の丸太を咥えて戻ってきた。それをアクセルの足元に置き、期待した目でこちらを見上げる。
「なんだ、丸太で遊びたかったのか。じゃあ肉まんできてから遊ぼうな」
「ぴー!」
「……え、それも違うのか? じゃあ何で丸太持ってきたんだよ?」
「ぴー」
ピピがガリガリと丸太の端を齧る。しばらくそれを見ていたら、徐々に角が削れて丸くなっていった。ちょっと面白かった。
「ぴー」
お前もやれと言わんばかりに、鼻先で削りかけの丸太を押しつけてくる。
アクセルは屈んで丸太を手に取り、ピピと交互に見つめた。
「木彫りをやって欲しいのか?」
「ぴーぴー」
「そうか……俺にできるかな」
薪割り程度なら朝飯前だが、木彫りなんてやったことがない。どうやって作ればいいのかわからないが、とりあえず適当に削ってみるか……。
アクセルは蒸かした肉まんを火から下ろし、皿に盛ってテーブルに置いておいた。
次いで短い小刀を手にし、丸太を持ってベランダに出た。何を作るかなぁ……と頭を捻っていたら、ピピが期待するようにこちらを見てきた。
――あ、そうか。
近くにちょうどいいモデルがいるじゃないか。アクセルは足下に寄り添ってくるピピに話しかけた。
「ぴー」
「……違う? じゃあ肉まんの味見か? もう少しでできるから、いい子で待っててくれ」
「ぴー……」
そうじゃない、とピピは首を振り、再びキッチンを出て行く。何をするのかと思ったら、今度は暖炉用の丸太を咥えて戻ってきた。それをアクセルの足元に置き、期待した目でこちらを見上げる。
「なんだ、丸太で遊びたかったのか。じゃあ肉まんできてから遊ぼうな」
「ぴー!」
「……え、それも違うのか? じゃあ何で丸太持ってきたんだよ?」
「ぴー」
ピピがガリガリと丸太の端を齧る。しばらくそれを見ていたら、徐々に角が削れて丸くなっていった。ちょっと面白かった。
「ぴー」
お前もやれと言わんばかりに、鼻先で削りかけの丸太を押しつけてくる。
アクセルは屈んで丸太を手に取り、ピピと交互に見つめた。
「木彫りをやって欲しいのか?」
「ぴーぴー」
「そうか……俺にできるかな」
薪割り程度なら朝飯前だが、木彫りなんてやったことがない。どうやって作ればいいのかわからないが、とりあえず適当に削ってみるか……。
アクセルは蒸かした肉まんを火から下ろし、皿に盛ってテーブルに置いておいた。
次いで短い小刀を手にし、丸太を持ってベランダに出た。何を作るかなぁ……と頭を捻っていたら、ピピが期待するようにこちらを見てきた。
――あ、そうか。
近くにちょうどいいモデルがいるじゃないか。アクセルは足下に寄り添ってくるピピに話しかけた。
0
お気に入りに追加
830
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
双子攻略が難解すぎてもうやりたくない
はー
BL
※監禁、調教、ストーカーなどの表現があります。
22歳で死んでしまった俺はどうやら乙女ゲームの世界にストーカーとして転生したらしい。
脱ストーカーして少し遠くから傍観していたはずなのにこの双子は何で絡んでくるんだ!!
ストーカーされてた双子×ストーカー辞めたストーカー(転生者)の話
⭐︎登場人物⭐︎
元ストーカーくん(転生者)佐藤翔
主人公 一宮桜
攻略対象1 東雲春馬
攻略対象2 早乙女夏樹
攻略対象3 如月雪成(双子兄)
攻略対象4 如月雪 (双子弟)
元ストーカーくんの兄 佐藤明
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
悪役の弟に転生した僕はフラグをへし折る為に頑張ったけど監禁エンドにたどり着いた
霧乃ふー 短編
BL
「シーア兄さまぁ♡だいすきぃ♡ぎゅってして♡♡」
絶賛誘拐され、目隠しされながら無理矢理に誘拐犯にヤられている真っ最中の僕。
僕を唯一家族として扱ってくれる大好きなシーア兄様も助けに来てはくれないらしい。
だから、僕は思ったのだ。
僕を犯している誘拐犯をシーア兄様だと思いこめばいいと。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
愛されなかった俺の転生先は激重執着ヤンデレ兄達のもと
糖 溺病
BL
目が覚めると、そこは異世界。
前世で何度も夢に見た異世界生活、今度こそエンジョイしてみせる!ってあれ?なんか俺、転生早々監禁されてね!?
「俺は異世界でエンジョイライフを送るんだぁー!」
激重執着ヤンデレ兄達にトロトロのベタベタに溺愛されるファンタジー物語。
注※微エロ、エロエロ
・初めはそんなエロくないです。
・初心者注意
・ちょいちょい細かな訂正入ります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる