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第3章~新たなる試練~
第120話
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「そうでもないよ。いつもは割とヘラヘラしてるけど、お前が目の前で死んだら卒倒しちゃうかも」
「? 死合いで死んだことは何度かあるが……?」
「そういうのじゃなくて、プライベートとか、生前とかさ。お前と違って、私はお前が死ぬのを見たことがないからね」
「あ……」
考えてみれば、死合い以外でアクセルは死んだことがない。いつも死ぬ寸前のところで兄が来てくれるから、何だかんだでずっと命拾いしてきた。
その代わり、兄の死は何度か目の当たりにしている。生前、瀕死の兄を看取ったこともあるし、訓練中に誤って兄を殺してしまったこともあった。
そういう意味では、アクセルはいつも見送る側なのだ……。
兄がにこりと微笑んでくる。
「私よりお前の方がずっとたくましいよ。私がいなくなっても、一生懸命努力してヴァルハラに招かれるくらいの実力を身につけたんだから」
「……それは、兄上がヴァルハラで待っていてくれると思ったからだよ。そうじゃなかったら、俺もすぐに兄上の後を追っていた。兄上がいない世界に興味はなかったから……」
「ありゃ、そうなの? それでも頑張ってたんだからお前は偉いよ」
「まあ、ヴァルハラに行きたい以外のことは何も考えてなかったけどな……」
やや自嘲気味に呟く。兄を失ってからは本当に鍛錬しかしておらず、ただひたすらヴァルハラに行くことを願っていた。
ヴァルハラに行くには最低でも「戦場で死ぬこと」が条件だったから、単に後追い自殺ができなかっただけで、本当はすぐにでも兄の側に行きたかったのだ……。
「? 死合いで死んだことは何度かあるが……?」
「そういうのじゃなくて、プライベートとか、生前とかさ。お前と違って、私はお前が死ぬのを見たことがないからね」
「あ……」
考えてみれば、死合い以外でアクセルは死んだことがない。いつも死ぬ寸前のところで兄が来てくれるから、何だかんだでずっと命拾いしてきた。
その代わり、兄の死は何度か目の当たりにしている。生前、瀕死の兄を看取ったこともあるし、訓練中に誤って兄を殺してしまったこともあった。
そういう意味では、アクセルはいつも見送る側なのだ……。
兄がにこりと微笑んでくる。
「私よりお前の方がずっとたくましいよ。私がいなくなっても、一生懸命努力してヴァルハラに招かれるくらいの実力を身につけたんだから」
「……それは、兄上がヴァルハラで待っていてくれると思ったからだよ。そうじゃなかったら、俺もすぐに兄上の後を追っていた。兄上がいない世界に興味はなかったから……」
「ありゃ、そうなの? それでも頑張ってたんだからお前は偉いよ」
「まあ、ヴァルハラに行きたい以外のことは何も考えてなかったけどな……」
やや自嘲気味に呟く。兄を失ってからは本当に鍛錬しかしておらず、ただひたすらヴァルハラに行くことを願っていた。
ヴァルハラに行くには最低でも「戦場で死ぬこと」が条件だったから、単に後追い自殺ができなかっただけで、本当はすぐにでも兄の側に行きたかったのだ……。
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