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第3章~新たなる試練~
第71話※
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言われて納得した。
ランゴバルトが殴られた時、外からでもゴォォンというかなり大きな音が響いていた。ならば兜の内側では、頭が割れるほどの音が響いていたに違いない。狂戦士モードの時は聴覚も鋭く研ぎ澄まされているため、いつもより余計に大きく聞こえたはずだ。それこそ鼓膜が破れるくらいの爆音だっただろう。
聴覚をやられると、人はバランス感覚が鈍くなる。だからランゴバルトは一刻も早く兜を脱ぎ、聴覚へのダメージを最小限に抑えようとしたのだ。それでもしばらくは足下のふらつきに苛まれるに違いない。
――兄上、そこまで考えて……。
あのランゴバルトに兜を脱がせた。力ずくで兜を叩き割るのではなく、最小限の労力で最も効果的なダメージを与え、かつ頭の防具を削ぎ落とした。兜がなければ頭部も狙い放題。鎧を纏っているランゴバルトより身軽な分、勝機も増える。
自分では全く思いつかない作戦だ。感動した。そしてますます兄のことが好きになってしまった。
俺も早く戦いたい。本気の兄上と死合いたい。見ているだけでウズウズする。ランゴバルトと交代できたらどんなに楽しいだろう。こんなに興奮する死合い、初めてだ……。
「アクセル」
「もがっ……」
一人でウズウズしていたら、ミューにペロペロキャンディーを突っ込まれた。口に広がった甘い味に驚いていると、ミューはニヤリと口角を上げて言った。
ランゴバルトが殴られた時、外からでもゴォォンというかなり大きな音が響いていた。ならば兜の内側では、頭が割れるほどの音が響いていたに違いない。狂戦士モードの時は聴覚も鋭く研ぎ澄まされているため、いつもより余計に大きく聞こえたはずだ。それこそ鼓膜が破れるくらいの爆音だっただろう。
聴覚をやられると、人はバランス感覚が鈍くなる。だからランゴバルトは一刻も早く兜を脱ぎ、聴覚へのダメージを最小限に抑えようとしたのだ。それでもしばらくは足下のふらつきに苛まれるに違いない。
――兄上、そこまで考えて……。
あのランゴバルトに兜を脱がせた。力ずくで兜を叩き割るのではなく、最小限の労力で最も効果的なダメージを与え、かつ頭の防具を削ぎ落とした。兜がなければ頭部も狙い放題。鎧を纏っているランゴバルトより身軽な分、勝機も増える。
自分では全く思いつかない作戦だ。感動した。そしてますます兄のことが好きになってしまった。
俺も早く戦いたい。本気の兄上と死合いたい。見ているだけでウズウズする。ランゴバルトと交代できたらどんなに楽しいだろう。こんなに興奮する死合い、初めてだ……。
「アクセル」
「もがっ……」
一人でウズウズしていたら、ミューにペロペロキャンディーを突っ込まれた。口に広がった甘い味に驚いていると、ミューはニヤリと口角を上げて言った。
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