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第3章~新たなる試練~
第63話
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死合いとは命懸けの真剣勝負である。死を恐れない者同士が本気で相手と斬り合う瞬間、その命はまぶしいほどに光り輝く。紙一重まで迫ってきた死を前にして、肉体は限界を超え、脳は活性化し、命は燦然と燃え盛る。その輝きこそ、この世で最も美しいものだ。少なくともアクセルはそう思う。
――兄上なら、誰よりも美しく輝いてくれるはず。
想像するだけで身体が疼く。戦士としての血が滾る。
待ちきれなくなり、アクセルは席を立って食器を片付けに行った。そして食堂を出て、試合会場へ向かった。
会場の受付当番に、兄に席をとってもらった旨を伝えると、会場の一番見やすいボックス席に案内された。会場全体を見渡せるよう、少し高い位置に専用席が設けられており、視界を遮らないように座席が横並びに四つ並んでいる。どうやらこのボックス席、定員は四名のようだった。
他に誰か見に来る人がいるんだろうか……と、そのうちのひとつに腰かけようとしたら、
「とうっ!」
「ぶっ……!」
後ろからタックルされて盛大につんのめった。誰かと思って振り返ったら、小柄な少年がにこやかに手を振ってきた。
「やっほー! アクセルも死合い見学に来たの?」
「ミュー? それに、ジーク様とユーベル様も……」
「よっ、弟くん。元気か?」
と、ミューの後ろからジークが顔を出す。ジークの隣にいたユーベルはわざとらしい素振りで額に手を当てた。
――兄上なら、誰よりも美しく輝いてくれるはず。
想像するだけで身体が疼く。戦士としての血が滾る。
待ちきれなくなり、アクセルは席を立って食器を片付けに行った。そして食堂を出て、試合会場へ向かった。
会場の受付当番に、兄に席をとってもらった旨を伝えると、会場の一番見やすいボックス席に案内された。会場全体を見渡せるよう、少し高い位置に専用席が設けられており、視界を遮らないように座席が横並びに四つ並んでいる。どうやらこのボックス席、定員は四名のようだった。
他に誰か見に来る人がいるんだろうか……と、そのうちのひとつに腰かけようとしたら、
「とうっ!」
「ぶっ……!」
後ろからタックルされて盛大につんのめった。誰かと思って振り返ったら、小柄な少年がにこやかに手を振ってきた。
「やっほー! アクセルも死合い見学に来たの?」
「ミュー? それに、ジーク様とユーベル様も……」
「よっ、弟くん。元気か?」
と、ミューの後ろからジークが顔を出す。ジークの隣にいたユーベルはわざとらしい素振りで額に手を当てた。
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