転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第2章~溢れる想い~

第49話*

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「うっ、あ……あっ……」

 苦痛を紛らわせるために兄にしがみつき、なるべく深呼吸して平静を保とうとする。

 これで快感が得られるのかはわからない。今の時点では変なところに変なものが刺さっているという違和感しかなく、狭いところを無理矢理こじ開けられている感覚に不快感さえ覚えた。

 ――だが、ここで音を上げるわけには……。

 アクセルは既にさんざん兄を待たせてきた。生前から数えると、二十年近くも待たせているのではなかろうか。

 だから、例え苦痛しかなくても兄のしたいようにしてもらいたい。自分は気持ちよくなれなくても、兄が快感を覚えているならそれでいい。

「ああ……お前の中、すごくいい……。包まれているだけで滾ってくる……」
「そんなに、いいか……?」
「もちろん……。熱くて柔らかくて程よく締め付けてきて……最高にいい気分だよ。こんなに気持ちいいの、初めてかも……」

 兄の顔からぽたりと官能の汗が落ちてきた。改めて兄を見たら、今までにないほど色っぽい顔をしていた。目は涙で濡れ、頬もいつもより紅潮している。

 ――こんな兄上、初めてかも……。

 物心つく前からずっと憧れ、愛してきた兄。その兄が自分を抱いて興奮している。滲み出る欲望を隠すこともなく、一人の男として大人の快楽を堪能している。

「ほら……お前も感じる? お兄ちゃんがお前の中にいるの」
「ん……」

 下腹部に意識を向けたら、兄の脈動が直接伝わってきた。今更ながら、兄とひとつになれたという実感が湧いてきた。生前は叶わなかったことがようやく叶ったのだ。

 そのことが嬉しくて、誇らしくて、幸せだった。
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