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第2章~溢れる想い~
第38話
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「ありがとう、兄上……。あなたの弟でいられて、俺は幸せだ」
想いがそのまま溢れそうになり、必死に顔を伏せる。少しでも気を抜いたら、幸せのあまり号泣してしまいそうだった。
目頭に力を入れ、一生懸命涙を堪えていると、
「アクセル」
突然顔を上げさせられ、唇を塞がれた。びっくりして目を見開いた途端、溜まっていた涙がぽろりと頬を伝い落ちた。
唇そのものはすぐに離れたが、一度こぼれた涙はすぐには止まらず、堰を切ったようにぼろぼろ溢れてきた。
「あっ……ごめん、そんなに嫌だった?」
「違うんだ……。嬉しくて……本当に嬉しくて、つい……」
「…………」
「はは……こんなことじゃ、また兄上に笑われてしまうな……。いつになったら、この泣き虫が治るんだろう……」
苦笑したら、兄が指で涙を拭ってくれた。そして優しい微笑みを浮かべ、ほんの少し首をかしげて聞いてきた。
「……ねえ、いい?」
「? 何がだ?」
「何って、そりゃあもちろん……」
そっと服の上から下腹部を撫でられ、驚いて目を見開く。このタイミングで兄から誘われるとは思っていなかったからだ。
兄が少し言い訳めいた口調で言う。
「本当はもう少しランク上がってからにしようと思ってたんだ。でもお前を狙ってるヤツはたくさんいるし……あまり呑気に待っていたら、他の人に盗られちゃうかなって」
「えっ……?」
「あ、嫌だったら全力で断って。お前が嫌がることはしたくない。あんなことがあった後だし、そんな気分になれないのもわかる」
「…………」
「でも、もしお前にその気があるのなら……この兄に身を委ねてみない?」
顔を覗き込まれ、アクセルはかあっと頬を上気させた。
想いがそのまま溢れそうになり、必死に顔を伏せる。少しでも気を抜いたら、幸せのあまり号泣してしまいそうだった。
目頭に力を入れ、一生懸命涙を堪えていると、
「アクセル」
突然顔を上げさせられ、唇を塞がれた。びっくりして目を見開いた途端、溜まっていた涙がぽろりと頬を伝い落ちた。
唇そのものはすぐに離れたが、一度こぼれた涙はすぐには止まらず、堰を切ったようにぼろぼろ溢れてきた。
「あっ……ごめん、そんなに嫌だった?」
「違うんだ……。嬉しくて……本当に嬉しくて、つい……」
「…………」
「はは……こんなことじゃ、また兄上に笑われてしまうな……。いつになったら、この泣き虫が治るんだろう……」
苦笑したら、兄が指で涙を拭ってくれた。そして優しい微笑みを浮かべ、ほんの少し首をかしげて聞いてきた。
「……ねえ、いい?」
「? 何がだ?」
「何って、そりゃあもちろん……」
そっと服の上から下腹部を撫でられ、驚いて目を見開く。このタイミングで兄から誘われるとは思っていなかったからだ。
兄が少し言い訳めいた口調で言う。
「本当はもう少しランク上がってからにしようと思ってたんだ。でもお前を狙ってるヤツはたくさんいるし……あまり呑気に待っていたら、他の人に盗られちゃうかなって」
「えっ……?」
「あ、嫌だったら全力で断って。お前が嫌がることはしたくない。あんなことがあった後だし、そんな気分になれないのもわかる」
「…………」
「でも、もしお前にその気があるのなら……この兄に身を委ねてみない?」
顔を覗き込まれ、アクセルはかあっと頬を上気させた。
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