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第2章~溢れる想い~
第34話
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兄の自宅は、特別地区に入ってすぐの小さな洋館だった。シンプルな一階建てで、白塗りの壁が美しい。
「どうぞ、上がって」
「お邪魔します……」
リビングに通され、アクセルは緊張しながら周囲を眺めた。
片付いているというより物が少ない。リビングにはソファーとテーブルしかなく、隣の部屋にもベッドとクローゼットしか置いてなかった。必要最小限の物しか持たない、非常に質素な生活である。
「何もなくてごめんね。物を増やすと掃除が面倒で。細々した家事、あまり好きじゃないんだ」
「だろうな。兄上は昔から大雑把だから」
「主夫業はお前の方が向いてるよね。一緒に住めるようになったら、家事はお前にやってもらおうかな」
まんざら冗談でもないような口振りだった。この分じゃ、一緒に暮らし始めたら家事を全部丸投げされそうだ。まあ、それはそれで悪くないが。
「それより兄上……ちょっと、その……話があるんだが……」
意を決して訓練のことを謝ろうとしたら、兄に手で遮られた。
「ああ、いいよ。無理しなくて大丈夫」
「いや、そういうわけには……」
「でも、積極的に喋りたいことじゃないだろう? 怖い目に遭ったんだから、わざわざ傷を掘り返す必要はないよ」
「……えっ?」
何のことかと思ったら、兄が言っているのは先程のレイプ未遂のことだった。道理で話が噛み合わないはずだ。
「あ、いや……そっちではなくて……。その前の特別訓練のことで謝りたいことが……」
「え? 何かあったっけ?」
アクセルは大きく息を吐くと、床に跪いて頭を下げた。
「どうぞ、上がって」
「お邪魔します……」
リビングに通され、アクセルは緊張しながら周囲を眺めた。
片付いているというより物が少ない。リビングにはソファーとテーブルしかなく、隣の部屋にもベッドとクローゼットしか置いてなかった。必要最小限の物しか持たない、非常に質素な生活である。
「何もなくてごめんね。物を増やすと掃除が面倒で。細々した家事、あまり好きじゃないんだ」
「だろうな。兄上は昔から大雑把だから」
「主夫業はお前の方が向いてるよね。一緒に住めるようになったら、家事はお前にやってもらおうかな」
まんざら冗談でもないような口振りだった。この分じゃ、一緒に暮らし始めたら家事を全部丸投げされそうだ。まあ、それはそれで悪くないが。
「それより兄上……ちょっと、その……話があるんだが……」
意を決して訓練のことを謝ろうとしたら、兄に手で遮られた。
「ああ、いいよ。無理しなくて大丈夫」
「いや、そういうわけには……」
「でも、積極的に喋りたいことじゃないだろう? 怖い目に遭ったんだから、わざわざ傷を掘り返す必要はないよ」
「……えっ?」
何のことかと思ったら、兄が言っているのは先程のレイプ未遂のことだった。道理で話が噛み合わないはずだ。
「あ、いや……そっちではなくて……。その前の特別訓練のことで謝りたいことが……」
「え? 何かあったっけ?」
アクセルは大きく息を吐くと、床に跪いて頭を下げた。
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