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第2章~溢れる想い~
第32話※
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「私の弟に手を出すヤツは誰であろうと絶対許さない」
「ぎゃあ!」
「お前たち、全員死んで詫びるといい」
「ぐぇッ!」
次々と男たちを斬り捨てていく兄。既に逃げ腰になっている男でも許さず、捕まえて頭から真っ二つに叩き斬っていた。本当に情けも容赦もなかった。
――兄上……。
兄がキレるとこうなるのか。怒気と殺気を全て力に変換し、武器を存分に振るっている。狂戦士になっても斬る相手を間違えることはなく、アクセルにはかすり傷ひとつ追わせない。
「ぐへっ……」
最後の一人を斬ったところで、兄はぐるりと部屋を見回した。動いている者はいなかった。アクセル以外の男は、全員血の海に沈んでいた。
「アクセル!」
血の着いた太刀を放り投げると、兄は狂戦士モードを解除してこちらに走り寄ってきた。そして口に噛まされている轡を解いて、力強く抱き起こしてくれた。
「大丈夫!? 怪我してない!?」
「え、あ……」
「あ、ごめん……。声出る? 無理なら今は話さなくていいよ」
アクセルは軽く首を振り、二、三度咳払いした。口の中が乾いていたが、喋れないほどではない。
「い、いや、大丈夫だ。ちょっと触られただけだから……」
「ホントに? ホントに何もされてない? 触られただけ?」
「ああ……」
そう頷いたら、いきなりガバッと抱き締められた。殴られた後頭部を摩(さす)るように、優しく髪を撫でられる。
「ぎゃあ!」
「お前たち、全員死んで詫びるといい」
「ぐぇッ!」
次々と男たちを斬り捨てていく兄。既に逃げ腰になっている男でも許さず、捕まえて頭から真っ二つに叩き斬っていた。本当に情けも容赦もなかった。
――兄上……。
兄がキレるとこうなるのか。怒気と殺気を全て力に変換し、武器を存分に振るっている。狂戦士になっても斬る相手を間違えることはなく、アクセルにはかすり傷ひとつ追わせない。
「ぐへっ……」
最後の一人を斬ったところで、兄はぐるりと部屋を見回した。動いている者はいなかった。アクセル以外の男は、全員血の海に沈んでいた。
「アクセル!」
血の着いた太刀を放り投げると、兄は狂戦士モードを解除してこちらに走り寄ってきた。そして口に噛まされている轡を解いて、力強く抱き起こしてくれた。
「大丈夫!? 怪我してない!?」
「え、あ……」
「あ、ごめん……。声出る? 無理なら今は話さなくていいよ」
アクセルは軽く首を振り、二、三度咳払いした。口の中が乾いていたが、喋れないほどではない。
「い、いや、大丈夫だ。ちょっと触られただけだから……」
「ホントに? ホントに何もされてない? 触られただけ?」
「ああ……」
そう頷いたら、いきなりガバッと抱き締められた。殴られた後頭部を摩(さす)るように、優しく髪を撫でられる。
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