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第2章~溢れる想い~
第21話※(フレイン視点)
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敵味方関係なく武器を振るい始めた弟を見て、フレインは眉をひそめた。
――これはよくないな……。
狂戦士になれたのはおめでたいが、それをコントロールできなければ意味がない。「狂戦士」と「獣」は紙一重だ。快感に呑み込まれて我を忘れてしまったら、「戦士失格」の烙印を押されてしまう。
それは絶対に阻止しなければ。
「おーい、アクセル!」
フレインは弟の武器を受け流しながら、彼に呼びかけた。
「興が乗るのはわかるけど、やりすぎはだめだ。それじゃ獣一直線だよ。戻ってきなさい、アクセル」
「ハアァァァッ!」
「……だめだ、こりゃ。全然聞こえてないね」
自分が呼びかければ正気に戻ると思ったのだが、彼の理性は心の奥深くに沈んでしまったようだ。狂戦士のまま完全に我を忘れてしまっている。
まったく、手のかかる弟だ……。
「中止だ、中止ー! ルール無視されちゃ訓練にならん」
ジークが声を張り上げた。アクセルの間合いから遠ざかり、攻撃を受けない場所で更に言う。
「こうなったら殺して止めるしかないな。誰が止めるよ?」
「あ、じゃあ僕が殺して来るー。まだアクセルを斬ったことないからさー」
ミューが死神の鎌を振り上げたのだが、フレインはあえてそれを遮った。
「待った。彼は私が止めるよ」
「んー? やっぱり弟を殺すのは自分がいい?」
「それもあるけど、殺しちゃったらあの子は何も学習せずに終わっちゃうよ。ちゃんと自分の状態を理解させないと」
「? いいけど、どうやるの?」
――これはよくないな……。
狂戦士になれたのはおめでたいが、それをコントロールできなければ意味がない。「狂戦士」と「獣」は紙一重だ。快感に呑み込まれて我を忘れてしまったら、「戦士失格」の烙印を押されてしまう。
それは絶対に阻止しなければ。
「おーい、アクセル!」
フレインは弟の武器を受け流しながら、彼に呼びかけた。
「興が乗るのはわかるけど、やりすぎはだめだ。それじゃ獣一直線だよ。戻ってきなさい、アクセル」
「ハアァァァッ!」
「……だめだ、こりゃ。全然聞こえてないね」
自分が呼びかければ正気に戻ると思ったのだが、彼の理性は心の奥深くに沈んでしまったようだ。狂戦士のまま完全に我を忘れてしまっている。
まったく、手のかかる弟だ……。
「中止だ、中止ー! ルール無視されちゃ訓練にならん」
ジークが声を張り上げた。アクセルの間合いから遠ざかり、攻撃を受けない場所で更に言う。
「こうなったら殺して止めるしかないな。誰が止めるよ?」
「あ、じゃあ僕が殺して来るー。まだアクセルを斬ったことないからさー」
ミューが死神の鎌を振り上げたのだが、フレインはあえてそれを遮った。
「待った。彼は私が止めるよ」
「んー? やっぱり弟を殺すのは自分がいい?」
「それもあるけど、殺しちゃったらあの子は何も学習せずに終わっちゃうよ。ちゃんと自分の状態を理解させないと」
「? いいけど、どうやるの?」
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