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第2章~溢れる想い~
第13話
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「でもまあ、今日はいろんなことがあったしね。お前も疲れただろう? 早めに帰って休んだ方がいいよ」
「…………」
「じゃあ、そこまで一緒に帰ろうか」
「……ああ」
別れるのが名残惜しくて、わざとゆっくり歩いた。頭上で瞬いている星が綺麗だった。
――早く一緒に暮らしたい……。
人間だった頃と同じように。好きな人とひとつ屋根の下で生活するのは、素朴ではあるけれど幸せの基本だと思う。
だが、それにはもっとランキングを上げなければならない。
「兄上……」
別れ際、アクセルは兄にひとつお願いをした。
「その……もしよかったら、今度『狂戦士モード』を教えてくれないか?」
「狂戦士モード?」
「ああ。これ以上ランキングを上げるには、狂戦士モードを身につけないといけないから……」
「確かに、上位ランカーで『狂戦士』になれない人はほとんどいないよね」
兄は顎に手を当てて、ちょっと考える素振りをしてから言った。
「じゃあ、今度特別訓練にでも参加する?」
「特別訓練?」
「うん、『狂戦士モードあり』の実践訓練。参加できるのはこれまた五〇位以上のランカーのみだから、お前ならギリギリOKじゃないかと思……」
兄の言葉が全て終わらないうちに、アクセルはその手を握り締めた。
「する! 絶対参加する! それ、いつやるんだ?」
「ええと、確か次は三日後……いや、四日後だったかな? 忘れちゃった」
「ちょ……そこ大事なところだろ」
「ごめんごめん。じゃあ訓練前に声かけに行くよ。それならいいでしょ?」
「ああ、願ったり叶ったりだ」
訓練に参加できる上、兄に迎えに来てもらえるならこんなに嬉しいことはない。またひとつ楽しみが増えて、アクセルは笑みをこぼした。
「…………」
「じゃあ、そこまで一緒に帰ろうか」
「……ああ」
別れるのが名残惜しくて、わざとゆっくり歩いた。頭上で瞬いている星が綺麗だった。
――早く一緒に暮らしたい……。
人間だった頃と同じように。好きな人とひとつ屋根の下で生活するのは、素朴ではあるけれど幸せの基本だと思う。
だが、それにはもっとランキングを上げなければならない。
「兄上……」
別れ際、アクセルは兄にひとつお願いをした。
「その……もしよかったら、今度『狂戦士モード』を教えてくれないか?」
「狂戦士モード?」
「ああ。これ以上ランキングを上げるには、狂戦士モードを身につけないといけないから……」
「確かに、上位ランカーで『狂戦士』になれない人はほとんどいないよね」
兄は顎に手を当てて、ちょっと考える素振りをしてから言った。
「じゃあ、今度特別訓練にでも参加する?」
「特別訓練?」
「うん、『狂戦士モードあり』の実践訓練。参加できるのはこれまた五〇位以上のランカーのみだから、お前ならギリギリOKじゃないかと思……」
兄の言葉が全て終わらないうちに、アクセルはその手を握り締めた。
「する! 絶対参加する! それ、いつやるんだ?」
「ええと、確か次は三日後……いや、四日後だったかな? 忘れちゃった」
「ちょ……そこ大事なところだろ」
「ごめんごめん。じゃあ訓練前に声かけに行くよ。それならいいでしょ?」
「ああ、願ったり叶ったりだ」
訓練に参加できる上、兄に迎えに来てもらえるならこんなに嬉しいことはない。またひとつ楽しみが増えて、アクセルは笑みをこぼした。
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