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第1章~あなたを目指して~

第51話

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「……じゃあ、四十八位なら合格ってことか?」
「んー、もう少しかな。どうせなら七位以内に入って欲しい。私と肩を並べたいなら、それくらいになってもらわないとね」
「……ふっ」

 思わず笑みがこぼれた。アクセルはぎゅっと兄に抱きつき、呟くように言った。

「兄上は意地悪だな……」
「意地悪な私は嫌い?」
「……そういうところも、意地悪だ」

 でも嫌いにはなれない。生まれた時からずっと憧れ、愛している。今は未熟だけど、少しでも兄に近づけているのなら、ここまで努力してきた甲斐があったかもしれない。

「アクセル」

 不意に名を呼ばれ、何かと思って顔を上げた。目と鼻の先に兄の美顔が見えた。

「! っ……ん」

 唇に柔らかいものが触れ、一瞬呼吸が止まる。突然のことで頭が真っ白になり、身体も硬直して動けなくなった。

 アクセルが目を見開いている間に、兄の唇は離れていった。

「四十八位まで頑張ったからね、ご褒美だよ」

 にこりと微笑んで、兄が言う。

「……あ、それとも、もっと別の物の方がよかった? これじゃ物足りない?」
「そっ……」

 一気に頬が熱くなり、恥ずかしくなって目を伏せた。

 こんなところで不意打ちのようにキスされるとは思っていなかった。いきなりすぎて、ちゃんと味わっている余裕もなかった。

 せっかく兄から口付けてくれたのに……。

「あの、兄上……」

 兄の肩に手を置き、顔を俯けながら呟くように言う。
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