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第1章~あなたを目指して~
第43話
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誰か援護して欲しかったが、他の戦士はランゴバルトに遠慮してか、手を出そうとしない。安全な場所で静観しているだけだ。
どいつもこいつも……と怒りを覚えたものの、助力を請えないのでは仕方がない。アクセルはヒビの入った小太刀を構えつつ、なるべくイノシシから距離を取ろうとした。
だがその時、イノシシの足元に白くて小さな生き物がいるのが見えた。
――あの子うさぎ……!
左脚に布が巻かれている。先程助けたアイツじゃないか。何故こんなところにいるんだ。
いや、そんなこと言っている場合じゃない。このままじゃイノシシに踏み潰されてしまう。
アクセルは無我夢中でイノシシの足元にスライディングし、子うさぎを拾って自分の胸元に突っ込んだ。そして股の間をくぐり抜けながら、イノシシの心臓部に小太刀を突き刺した。
「ギャァァァ……!」
首と心臓を刺された大イノシシは、断末魔の雄叫びを上げた後、ゆらりと巨体を揺らめかせ、どっ……と地面に頽れた。危うく下敷きになるところだったが、すんでのところで抜けられてよかった。
「……ちっ」
ランゴバルトが倒れた大イノシシに近づき、足で踏みつけながら長戟を引き抜く。
だが武器を手にした途端、彼は突然こちらに刃を向けてきた。
「よくも邪魔してくれたな、雑魚が!」
「っ……!?」
怒りに任せ、長戟を振るってくる。正面から斬られるわけにはいかなかったので、慌てて身体を捻った。避けきれず、もろに脇腹に穂先が入り、肉を抉り取られた。
どいつもこいつも……と怒りを覚えたものの、助力を請えないのでは仕方がない。アクセルはヒビの入った小太刀を構えつつ、なるべくイノシシから距離を取ろうとした。
だがその時、イノシシの足元に白くて小さな生き物がいるのが見えた。
――あの子うさぎ……!
左脚に布が巻かれている。先程助けたアイツじゃないか。何故こんなところにいるんだ。
いや、そんなこと言っている場合じゃない。このままじゃイノシシに踏み潰されてしまう。
アクセルは無我夢中でイノシシの足元にスライディングし、子うさぎを拾って自分の胸元に突っ込んだ。そして股の間をくぐり抜けながら、イノシシの心臓部に小太刀を突き刺した。
「ギャァァァ……!」
首と心臓を刺された大イノシシは、断末魔の雄叫びを上げた後、ゆらりと巨体を揺らめかせ、どっ……と地面に頽れた。危うく下敷きになるところだったが、すんでのところで抜けられてよかった。
「……ちっ」
ランゴバルトが倒れた大イノシシに近づき、足で踏みつけながら長戟を引き抜く。
だが武器を手にした途端、彼は突然こちらに刃を向けてきた。
「よくも邪魔してくれたな、雑魚が!」
「っ……!?」
怒りに任せ、長戟を振るってくる。正面から斬られるわけにはいかなかったので、慌てて身体を捻った。避けきれず、もろに脇腹に穂先が入り、肉を抉り取られた。
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