転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第1章~あなたを目指して~

第20話

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「ちょ……!」

 あまりに他人行儀な態度に、アクセルは頭が真っ白になった。あの兄が自分の事を忘れるはずがない。これは何かの間違いだ。そう思った。

「ちょっと待ってくれ兄上! わからないとか嘘だろ!?」
「…………」
「俺、アクセルだよ! あなたの弟のアクセルだ! 覚えてるよな!?」
「くどい」
「っ……!?」
「しつこい人は嫌われるよ。私と対等に会話したかったら、もっとランクを上げて出直して来なさい」

 青い瞳がこちらを見据える。その目に温かさはなかった。それどころか、自分より明らかに下の者を見る目――侮りや蔑みといった感情が含まれていた。

 ――違う……!

 こんな目を向けて欲しかったのではない。こんな風に見下されたかったわけではない。

 兄が亡くなって十一年間、ヴァルハラだけを目指して努力してきたのだ。愛する兄にもう一度会いたくて、そのために無我夢中で腕を磨いてきたのだ。

 それなのに……。

「兄上ぇぇっ!」

 闇雲な感情が爆発し、気付いたらアクセルは兄に斬りかかっていた。一気に間合いを詰め、無防備な背に両手の小太刀を振り下ろす。

「おやおや。これはまた血の気の多い新人だ」
「っ!?」

 ところが、勢いよく振り下ろした小太刀は、兄の愛刀の鞘に受け止められてしまった。

 抜刀すらしていない相手に太刀筋を読まれたことに、少なからず衝撃を覚える。

「うん、わかった。私に斬りかかってきた度胸は認めるよ」

 ヒュッ……と、目の前を風が切った。一瞬、何が起こったかわからなかった。

 一拍遅れて、左腕に焼けるような痛みが走った。

 気付いたら、自分の左腕が地面に落ちていた。その手には小太刀が握られたままだった。
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