転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています～ヴァルハラで死合いましょう～

第１章～あなたを目指して～

第１８話

　――さすがに三ヶ月では、兄上に追いつくことはできないか……。

　ヴァルハラで生活している戦士は約五〇〇〇人。

　そのうち、兄・フレインの戦士ランクは三位だ。戦士全員の憧れである、トップセブンの実力者である。

　一方のアクセルは最近ようやく一〇〇位以内に入ったばかり。五〇〇〇人の中の一〇〇位だと思えばかなり上の方だが、目標にはまだまだ遠い。

　――もっと強くならなければ……。

　鍛錬でもしに行くか……と思い、自分の武器を取りに行こうとした時。

「おーい、アクセル！」

　遠くから赤毛の少年が走ってきた。

　自分と同じタイミングでヴァルハラに招かれた戦士・チェイニーだ。さしずめ「同期」といったところか。

「やっと復活したのか。随分時間かかったなー」
「そうだな。思いっきり斬られたせいかもしれない」
「あー、確かにすごい斬られ方されてたよね。死合い見てたけどヤバかったよ。フレイン様、優しそうに見えて全然容赦ないんだもん」
「それが兄上のいいところなんだよ。弟だからって手を抜かれるのも嫌だし」
「それでも容赦なさすぎじゃん？　というかフレイン様、アクセルのこと弟だって認識してる？」
「それは……」
「だってアクセル、ヴァルハラに来てすぐ散々な目に遭ったんでしょ？」
「う……」

　痛いところを突かれ、言葉に詰まる。

　三ヶ月前、ヴァルハラにやってきてすぐ、アクセルは兄を捜した。ヴァルハラはランキングごとに住む場所が違うと聞いて、上位ランカーの居住区まで捜しに行ったのだ。

　ところが、兄の居住区に足を踏み入れた途端、見回り組の男たちに捕まってしまった。