転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第1章~あなたを目指して~

第11話

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 次の夢は、思春期真っ只中の少年期。兄への気持ちを自覚し始めた頃の話だ。確か十五歳くらいだったと思う。

 もともと真面目なアクセルはこの歳になっても浮いた話はほとんどなく、「硬派な青少年」として町で評判になっていた。事実女性にはあまり興味がなく、「女性と遊びに行くより訓練していた方が楽しい」と思っていたくらいだ。

 とはいえ、全くモテなかったわけではない。同年代の女の子から告白されたこともあったし、数人の女性集団に訓練場まで追いかけられたこともあった。

 ――でもああいう連中は、見栄えのいい男を追いかけてるだけだからな……。

 優れた容姿を両親から授かったのはありがたい。けれど、女性に興味のない人間にとっては周囲の歓声は煩わしいだけだった。集中して鍛錬に臨みたいんだから邪魔しないで欲しい。

「お前、最近どうしたの? 隊長から小言を言われたんだけど」

 帰宅した途端、兄にそんなことを言われてドキッとした。

「えっ!? 隊長、何て言ってたんだ?」
「『どうも成績が落ちているようだ』……って。手合わせの勝率も下がり気味だし、何かあったんじゃないかって心配してたよ」
「いや、別に何も……」
「まあ、お前のことだから鍛錬をサボっているわけじゃないんだろうけど。でも、手合わせの結果はいろんな意味で正直だからね。集中できてないんでしょ?」
「う……」
「なんで集中できないの?」

 じっ……と青い瞳に見つめられる。

 心の奥まで見透かされそうで、アクセルはふいと目線を反らした。

 ――兄上、また綺麗になってる……。
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