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第1章~あなたを目指して~

第9話

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「ところであのカカシ、もうボロボロだね。新しいのを作ろうか」
「あ、ならその前に試し斬りを見せてくれないか?」
「試し斬り?」
「兄上のその武器、ものすごく切れ味がいいんだろう? 一度見てみたいと思ったんだ。どうせ捨てるなら、あのカカシで試し斬りをしてくれないか?」
「うん、いいよ。よく見てて」

 フレインがカカシの近くで足を止めた。左腰に下げている武器の柄を握り、静かに構えの姿勢をとる。まだ武器は鞘に収まったままだ。

 ――まだ剣、抜かないのかな?

 剣を抜かないと斬ることはできないのだが……と思った次の瞬間。

「あっ……!」

 突然カカシの首が刎ね飛ばされた。次いで胴体、両脚、と綺麗に三つに切断される。太刀筋にブレがなく、木材で出来たカカシの切り口がどれもスパッと切れていた。

「わああ……すごい、かっこいい……!」
「東の国で流行ってる『太刀たち』という武器だよ。緩いカーブを描いていて、片方の刃だけで敵を斬るんだ。両刃もろはの剣じゃないから扱いは難しいけど、丈夫だし切れ味は抜群。そこが気に入ってるかな」
「はあぁ……」

 目にも止まらない抜刀術に、アクセルは純粋に感動した。

 ――兄上すごい……ホントにすごい……!

 強くてかっこいい兄。美しくて華がある兄。綺麗で優しくておっとりしているのに、戦場では勇敢に戦う――そんな兄に心底憧れた。

「兄上、俺もその武器使いたい! 今日から俺もその武器で訓練する!」
「え? これで?」
「そうだ! 兄上、貸してくれ!」
「えーっと……」

 兄はやや困惑していたものの、太刀を鞘に納めてこちらに差し出してきた。

「じゃあ、ちょっと持ってみる?」
「うん!」

 嬉々として武器を受け取ったのだが、兄が手を離した瞬間、両腕にズシリとした重さがのしかかってきた。

「うわ……っ」

 思わず落としそうになり、慌てて太刀を抱き締める。

 軽々扱っているように見えたのに、兄の愛刀は想像よりずっと重かった。今のアクセルが素振りしても、数回で腕が限界を迎えてしまいそうだ。
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