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第1章~あなたを目指して~

第4話~フレイン目線~

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 教会のような白い建物の中には、無数の棺が並んでいる。蓋が閉じられている物もあれば、開きっぱなしの物もあった。

 ――今日は結構混んでるなぁ……。

 閉じられている棺の中では蘇生が行われている。死体の損壊度によって蘇生時間はまちまちだが(外傷がほとんどなく死んだ場合と、首や四肢を飛ばされて死んだ場合とでは、前者の方が蘇生が早い)、これだけ使用中の棺が多いということは、今日の戦闘は激しいものが多かったということだ。

 まあ、自分も人の事は言えないけれど。

「え、フレイン様? 何故あなたがここに……?」

 弟を空いている棺に入れようとしたら、館の日直らしき男が声をかけてきた。この男も下位ランカーだろうか……あまり見覚えがない。

 もっともフレインは、余程親しい人でない限りあまり顔と名前を覚えていないのだが。

「上位ランカーにそのような雑用をさせるとは……。今日の死体回収班は何をしていたのですか」
「私が断ったんだ。自分で運ぶからって」
「そうなのですか? しかし……」
「ほら、向こうに行ってなさい。この子が休めないって」
「し、失礼しました……」

 叱られた男は、そそくさとその場を離れ、他の棺の見回りに行った。

 ――上だの下だの……面倒なことだね。

 本来、戦闘で死んだ者を運び込むのは下位ランカーの仕事である。上位ランカーになればなるほど、こういった仕事は減っていくのだ。

 だが、「これは上位、これは下位」などと、細かいことにこだわるのもアホくさいとフレインは思っている。

 運びたい時は運ぶ。そうでない時は任せる。今日はたまたま弟が相手だったから、自分で運んでやりたくなった……それだけだ。

 硬直が始まりかけている弟を、急いで棺の中に寝かせる。死ぬ直前まで激しく動き回っていたたせいか、筋肉が硬まるのがやや早かった。
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