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第11話
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4は真っ直ぐ7を見つめて、言った。
「一緒に虹を見に行こう」
「……まだそんなことを……」
深々と息を吐き、7はこちらを見下ろした。自分と同じ顔がやや翳っているように見えた。
「……わかったよ。僕が虹を見に行く時は、あんたの骨壷も一緒に持って行ってあげる。そういう約束だしね」
7が引き金を引いた。だが弾は発射されなかった。弾は残っているはずなのに、どういうわけかトリガーが空回りしてしまう。
「ちっ……こんな時に故障かよ。これじゃ何もできないじゃん……」
「……いいじゃないか、何もしなければ。殺し合いはもうおしまいだ」
「でも……それじゃ、どっちが『ミハエル・ヴェルトマー』になるか決められないよ。卒業できるのは一人だけなのに」
「二人だっていいじゃないか……。ヴェルトマー公爵は息子の代わりが欲しかっただけなんだから……双子だって問題ないはずさ」
「……そうかな。二人生き残ったらサドンデスになると思うけど」
「そうでもないだろ。共倒れになる可能性がある以上、もうこの辺りで区切りをつけると思うぞ。時間と金をかけてクローンを育て上げたのに、結果的に全滅したら公爵だって困るはずだろ……? ここまで来たら、二人まとめて合格させてくれるはずだよ……」
「……はあ。あんたはホントに呑気だな……」
また呆れられてしまったが、7もまんざらではないような顔をしていた。
7はごろりと横に寝転がってきた。
「……ま、あとは研究所側の判断に任せるよ……。あちこち動き回っていたら、疲れちゃった……。身体も痛いし……しばらく、休むよ……」
「……そう、だな……俺もだんだん眠くなってきた……。一緒に休もうぜ……7」
7は無言で頷いたが、もうほとんど聞こえていないようだった。
自分と同じ顔を横目で見ながら、4も目を閉じた。血の匂いが鼻をついたが、だんだん何も感じなくなった。
二人で大きな虹の橋を渡る夢を見た。虹の向こうでは、自分と同じ顔をした他の仲間たちが手を振っていた。
「一緒に虹を見に行こう」
「……まだそんなことを……」
深々と息を吐き、7はこちらを見下ろした。自分と同じ顔がやや翳っているように見えた。
「……わかったよ。僕が虹を見に行く時は、あんたの骨壷も一緒に持って行ってあげる。そういう約束だしね」
7が引き金を引いた。だが弾は発射されなかった。弾は残っているはずなのに、どういうわけかトリガーが空回りしてしまう。
「ちっ……こんな時に故障かよ。これじゃ何もできないじゃん……」
「……いいじゃないか、何もしなければ。殺し合いはもうおしまいだ」
「でも……それじゃ、どっちが『ミハエル・ヴェルトマー』になるか決められないよ。卒業できるのは一人だけなのに」
「二人だっていいじゃないか……。ヴェルトマー公爵は息子の代わりが欲しかっただけなんだから……双子だって問題ないはずさ」
「……そうかな。二人生き残ったらサドンデスになると思うけど」
「そうでもないだろ。共倒れになる可能性がある以上、もうこの辺りで区切りをつけると思うぞ。時間と金をかけてクローンを育て上げたのに、結果的に全滅したら公爵だって困るはずだろ……? ここまで来たら、二人まとめて合格させてくれるはずだよ……」
「……はあ。あんたはホントに呑気だな……」
また呆れられてしまったが、7もまんざらではないような顔をしていた。
7はごろりと横に寝転がってきた。
「……ま、あとは研究所側の判断に任せるよ……。あちこち動き回っていたら、疲れちゃった……。身体も痛いし……しばらく、休むよ……」
「……そう、だな……俺もだんだん眠くなってきた……。一緒に休もうぜ……7」
7は無言で頷いたが、もうほとんど聞こえていないようだった。
自分と同じ顔を横目で見ながら、4も目を閉じた。血の匂いが鼻をついたが、だんだん何も感じなくなった。
二人で大きな虹の橋を渡る夢を見た。虹の向こうでは、自分と同じ顔をした他の仲間たちが手を振っていた。
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