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初めてのお稽古編
第30話
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(理解不能だ……)
嫌いな相手を攻撃する人って、第三者からはドン引きされているのに気付かないんだろうか。自分の株をも一緒に下げているってわからないんだろうか。
わからないんだろうな……と思いつつ、夏樹は小さく首を振った。祐介さんはあんなにいい人なのに、なんで母親はああでこうなんだろう……と、内心で小言を吐く。
「すみません、変なこと聞いちゃって。ありがとうございました」
きちんと礼を言って、倉庫に向かおうとしたら、
「夏樹くん」
「えっ……?」
「健介とはちゃんと上手くやってる?」
「あ、ええ、まあ……はい」
「ホントに? 今は遠距離だけど倦怠期に入ってない?」
「大丈夫だと思います。先生、何かというとすぐ東京に来るし。連絡もマメなので、あまり遠距離って感じはしないです」
「そうか。健介の性癖は時々僕でも引いちゃうくらい突き抜けてるからね。夏樹くんに迷惑かかってるんじゃないかと心配だったけど……仲良くやれてるならよかったよ」
にこりと微笑み、祐介は続けた。
「これからも健介のことよろしくね。あの通り変態だけど、悪い人じゃないから」
「はい、任せといてください」
祐介に笑い返し、夏樹はその場を離れた。そして教えてもらった倉庫へ向かった。
母屋の裏側に回ったら、目的の倉庫はすぐに見つかった。
(あれだな?)
瓦屋根に白壁の建物。まるで時代劇に出て来そうな倉だった。
密室だから中はさも暑いのだろう……と思って恐る恐る入室したら、意外と涼しくなっていてびっくりした。
嫌いな相手を攻撃する人って、第三者からはドン引きされているのに気付かないんだろうか。自分の株をも一緒に下げているってわからないんだろうか。
わからないんだろうな……と思いつつ、夏樹は小さく首を振った。祐介さんはあんなにいい人なのに、なんで母親はああでこうなんだろう……と、内心で小言を吐く。
「すみません、変なこと聞いちゃって。ありがとうございました」
きちんと礼を言って、倉庫に向かおうとしたら、
「夏樹くん」
「えっ……?」
「健介とはちゃんと上手くやってる?」
「あ、ええ、まあ……はい」
「ホントに? 今は遠距離だけど倦怠期に入ってない?」
「大丈夫だと思います。先生、何かというとすぐ東京に来るし。連絡もマメなので、あまり遠距離って感じはしないです」
「そうか。健介の性癖は時々僕でも引いちゃうくらい突き抜けてるからね。夏樹くんに迷惑かかってるんじゃないかと心配だったけど……仲良くやれてるならよかったよ」
にこりと微笑み、祐介は続けた。
「これからも健介のことよろしくね。あの通り変態だけど、悪い人じゃないから」
「はい、任せといてください」
祐介に笑い返し、夏樹はその場を離れた。そして教えてもらった倉庫へ向かった。
母屋の裏側に回ったら、目的の倉庫はすぐに見つかった。
(あれだな?)
瓦屋根に白壁の建物。まるで時代劇に出て来そうな倉だった。
密室だから中はさも暑いのだろう……と思って恐る恐る入室したら、意外と涼しくなっていてびっくりした。
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