328 / 393
体育祭編
第44話
しおりを挟む
(まあ、そうだよな。今からあれこれ考えててもしょうがないし)
漠然とした不安はあるものの、今すぐに状況が変わるわけではない。今年は高校三年生だから、受験勉強もしなければならないのだ。これからは受験勉強をメインにして、時々料理の練習をしてみよう。
「ところで先生は、今日は何時ごろに体育祭見に来るんですか?」
「ん? 開会式からいるつもりだけど。もちろん夏樹の勇姿を見ることが目的だけど、先生方にも挨拶しておきたいしな」
「そうですか。わかってると思いますけど、大声で応援するのはやめてくださいね」
「はいはい、わかってるって。校庭のド真ん中で夏樹への愛を叫んだりはしないよ」
……本当にわかっているのだろうか。
「じゃ、俺は家の片付けをしてから行くからな。夏樹は遅刻しないようにしろよ?」
「はいはい……。じゃあ、行ってきます」
体操着や運動靴が入ったリュックを下げ、夏樹は家を出た。
通学用のバスに揺られながら、ふと思う。
(そういや先生……体育祭が終わったら実家に帰っちゃうんだよな……)
ということは明日……早くて今日の夜にはお別れになってしまう。また夏休みになったら会えるはずだけど、しばらく離ればなれになると思うと、やはり少し寂しかった。今回は市川がこちらに来てくれたが、東京と京都では気軽に会いに行ける距離ではない。
(どこでもドアがあったらいいのに……)
そんなしょーもないことを考えつつ、夏樹はしばらくバスに揺られていた。
***
体育祭が始まった。
夏樹は自分の席でボーッとグラウンドを眺めていた。今は部活動対抗リレーの真っ最中で、応援している人も熱が入っている。
漠然とした不安はあるものの、今すぐに状況が変わるわけではない。今年は高校三年生だから、受験勉強もしなければならないのだ。これからは受験勉強をメインにして、時々料理の練習をしてみよう。
「ところで先生は、今日は何時ごろに体育祭見に来るんですか?」
「ん? 開会式からいるつもりだけど。もちろん夏樹の勇姿を見ることが目的だけど、先生方にも挨拶しておきたいしな」
「そうですか。わかってると思いますけど、大声で応援するのはやめてくださいね」
「はいはい、わかってるって。校庭のド真ん中で夏樹への愛を叫んだりはしないよ」
……本当にわかっているのだろうか。
「じゃ、俺は家の片付けをしてから行くからな。夏樹は遅刻しないようにしろよ?」
「はいはい……。じゃあ、行ってきます」
体操着や運動靴が入ったリュックを下げ、夏樹は家を出た。
通学用のバスに揺られながら、ふと思う。
(そういや先生……体育祭が終わったら実家に帰っちゃうんだよな……)
ということは明日……早くて今日の夜にはお別れになってしまう。また夏休みになったら会えるはずだけど、しばらく離ればなれになると思うと、やはり少し寂しかった。今回は市川がこちらに来てくれたが、東京と京都では気軽に会いに行ける距離ではない。
(どこでもドアがあったらいいのに……)
そんなしょーもないことを考えつつ、夏樹はしばらくバスに揺られていた。
***
体育祭が始まった。
夏樹は自分の席でボーッとグラウンドを眺めていた。今は部活動対抗リレーの真っ最中で、応援している人も熱が入っている。
0
お気に入りに追加
621
あなたにおすすめの小説

就職するところがない俺は男用のアダルトグッズの会社に就職しました
柊香
BL
倒産で職を失った俺はアダルトグッズ開発会社に就職!?
しかも男用!?
好条件だから仕方なく入った会社だが慣れるとだんだん良くなってきて…
二作目です!





ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる