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体育祭編
第20話
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「さ~て、今日の晩メシ何にするかな~♪」
上機嫌に鼻歌を歌っている市川。なんだか京都の実家を抜け出して来たとは思えないくらい呑気な態度だ。
(……というか、本当に実家は大丈夫なのかな)
夏樹には、次期家元の勤めがどんなものなのかわからない。それでも、実家を放置して約三週間もこちらに来ていいとは思えなかった。市川はあっけらかんとしているけれど、いざ実家に戻った時に「次期家元の勤めを放棄した」なんて言われて、ますます肩身が狭くなってしまったら気の毒である。
(……それに、祐介さんのことも気になるし)
市川の腹違いの弟・真田祐介。今の家元の嫡出子だ。もともと次期家元は祐介と決まっていたのだが、市川とツーリングに出掛けた際、事故で脚を悪くしてしまい、次期家元ではなくなってしまったらしい。
本人は杖をつきながらも元気に生活しているし、次期家元でなくなったことを気にも留めていないようだったが……。
「おっ! このケーキすごいカラフル! なあ、ひとつ買って行かない?」
「…………」
「おい、夏樹?」
「えっ? あ、はい……なんですか?」
「どうしたんだ? 何か考え事か?」
「いや……考え事というか……」
「なんだよ? 気になることがあるなら言ってみ?」
「はあ……じゃあ……」
何と言ったものか迷った挙げ句、夏樹は結局ストレートな質問をぶつけた。回りくどいことを言うより真っ直ぐな気持ちをぶつけた方が、この変態教師には有効だと思った。
上機嫌に鼻歌を歌っている市川。なんだか京都の実家を抜け出して来たとは思えないくらい呑気な態度だ。
(……というか、本当に実家は大丈夫なのかな)
夏樹には、次期家元の勤めがどんなものなのかわからない。それでも、実家を放置して約三週間もこちらに来ていいとは思えなかった。市川はあっけらかんとしているけれど、いざ実家に戻った時に「次期家元の勤めを放棄した」なんて言われて、ますます肩身が狭くなってしまったら気の毒である。
(……それに、祐介さんのことも気になるし)
市川の腹違いの弟・真田祐介。今の家元の嫡出子だ。もともと次期家元は祐介と決まっていたのだが、市川とツーリングに出掛けた際、事故で脚を悪くしてしまい、次期家元ではなくなってしまったらしい。
本人は杖をつきながらも元気に生活しているし、次期家元でなくなったことを気にも留めていないようだったが……。
「おっ! このケーキすごいカラフル! なあ、ひとつ買って行かない?」
「…………」
「おい、夏樹?」
「えっ? あ、はい……なんですか?」
「どうしたんだ? 何か考え事か?」
「いや……考え事というか……」
「なんだよ? 気になることがあるなら言ってみ?」
「はあ……じゃあ……」
何と言ったものか迷った挙げ句、夏樹は結局ストレートな質問をぶつけた。回りくどいことを言うより真っ直ぐな気持ちをぶつけた方が、この変態教師には有効だと思った。
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