240 / 393
春休み編
第2話
しおりを挟む
(考えてみれば、最後に抱かれた相手って河口のままなんだよな……)
今更ながら、そのことがものすごく不潔なことに思えてきた。
早く先生に会って関係を修復したい。いや……修復以前に、そもそも夏樹は「別れる」なんて認めていない。こんな無責任な状態で放り投げられるのは納得できなかった。
夏樹は翔太の顔を見上げた。
「この写真がどうかした?」
「いやほら、ここ見てよ」
翔太が袴の背面の写真を拡大する。市川のうなじ辺りが大きくなり、ある模様が見えてきた。六つの円が数珠型に並んでいる模様だった。
「これさ、先生の実家の家紋じゃない? ちゃんとした着物には背中のところに家紋が縫われてるって聞いたんだけど、これを画像検索すれば何かしらヒットするんじゃないかな」
「えっ、家紋……?」
奪うようにスマホを凝視する。並んでいる六つの円の中心には、小さな正方形が描かれていた。
(この円、どこかで見たな……?)
夏樹は急いで机から日本史の資料集を引っ張り出した。
確か……確かこれは……戦国時代の有名武将の家紋だったような……?
「あっ……!」
見つけた。スマホの画像と同じ六つの円。それが二列三行に並んでいる。これが「真田家」の家紋で、有名な六文銭だ。
「そうだ、真田だ!」
「えっ? 何?」
「先生の本名! 真田健介だ! ありがとう翔太、やっと思い出せた!」
「そ、そっか。手掛かりになったならよかったよ」
喜びのあまり翔太の手を握ってぶんぶん振ったら、彼はやや引いたような顔で笑ってくれた。
今更ながら、そのことがものすごく不潔なことに思えてきた。
早く先生に会って関係を修復したい。いや……修復以前に、そもそも夏樹は「別れる」なんて認めていない。こんな無責任な状態で放り投げられるのは納得できなかった。
夏樹は翔太の顔を見上げた。
「この写真がどうかした?」
「いやほら、ここ見てよ」
翔太が袴の背面の写真を拡大する。市川のうなじ辺りが大きくなり、ある模様が見えてきた。六つの円が数珠型に並んでいる模様だった。
「これさ、先生の実家の家紋じゃない? ちゃんとした着物には背中のところに家紋が縫われてるって聞いたんだけど、これを画像検索すれば何かしらヒットするんじゃないかな」
「えっ、家紋……?」
奪うようにスマホを凝視する。並んでいる六つの円の中心には、小さな正方形が描かれていた。
(この円、どこかで見たな……?)
夏樹は急いで机から日本史の資料集を引っ張り出した。
確か……確かこれは……戦国時代の有名武将の家紋だったような……?
「あっ……!」
見つけた。スマホの画像と同じ六つの円。それが二列三行に並んでいる。これが「真田家」の家紋で、有名な六文銭だ。
「そうだ、真田だ!」
「えっ? 何?」
「先生の本名! 真田健介だ! ありがとう翔太、やっと思い出せた!」
「そ、そっか。手掛かりになったならよかったよ」
喜びのあまり翔太の手を握ってぶんぶん振ったら、彼はやや引いたような顔で笑ってくれた。
0
お気に入りに追加
621
あなたにおすすめの小説

就職するところがない俺は男用のアダルトグッズの会社に就職しました
柊香
BL
倒産で職を失った俺はアダルトグッズ開発会社に就職!?
しかも男用!?
好条件だから仕方なく入った会社だが慣れるとだんだん良くなってきて…
二作目です!





ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる