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冬休み編
第35話
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「うわぁ……そんなことがあったんだ。大変だったね、なっちゃん」
と、翔太が同情してくる。
「じゃあさ、先生のマンションに直接会いに行けばいいんじゃない?」
「えっ……?」
「学校は辞めても、住所はまだ変わってないでしょ。今日学校終わったら先生の家に乗り込まない? 引っ越されちゃうかもしれないから、早くした方がいいよ」
それもそうか。学校で会えないのなら、直接会いに行って話をすればいい。
始業式が終わるやいなや、夏樹は翔太と共に市川のマンションに向かった。自分から会いに行ってやるのはシャクだったが、これ以上問題を先延ばしにしても仕方がない。
「へえ……市川先生って結構いいマンション住んでるんだね。もっと安いアパートに住んでるのかと思ったよ」
通い慣れた市川のマンションに着いた途端、翔太が感嘆の溜息を漏らした。
市川が住まいにしているところは、間取りのゆったりした1LDKのマンションである。夏樹が寝泊まりしていても窮屈に思ったことはないから、男の一人暮らしにしてはなかなか贅沢な場所かもしれない。
(考えてみれば先生、お金には結構余裕あるみたいだったしな……)
高校の若手教員の給料なんて、たかが知れていると思う。どうやって稼いでいたのか知らないが、他にも何かしらの所得があったのだろう。
そう言えば、夏休みに元カノの伶花さんが「彼は『茶道の時期お家元』だ」と言っていたような気がする。「茶道のお家元」がどれほど社会的ステータスを持つのかは知らないけれど、それ関連での稼ぎがあったのかもしれない……。
と、翔太が同情してくる。
「じゃあさ、先生のマンションに直接会いに行けばいいんじゃない?」
「えっ……?」
「学校は辞めても、住所はまだ変わってないでしょ。今日学校終わったら先生の家に乗り込まない? 引っ越されちゃうかもしれないから、早くした方がいいよ」
それもそうか。学校で会えないのなら、直接会いに行って話をすればいい。
始業式が終わるやいなや、夏樹は翔太と共に市川のマンションに向かった。自分から会いに行ってやるのはシャクだったが、これ以上問題を先延ばしにしても仕方がない。
「へえ……市川先生って結構いいマンション住んでるんだね。もっと安いアパートに住んでるのかと思ったよ」
通い慣れた市川のマンションに着いた途端、翔太が感嘆の溜息を漏らした。
市川が住まいにしているところは、間取りのゆったりした1LDKのマンションである。夏樹が寝泊まりしていても窮屈に思ったことはないから、男の一人暮らしにしてはなかなか贅沢な場所かもしれない。
(考えてみれば先生、お金には結構余裕あるみたいだったしな……)
高校の若手教員の給料なんて、たかが知れていると思う。どうやって稼いでいたのか知らないが、他にも何かしらの所得があったのだろう。
そう言えば、夏休みに元カノの伶花さんが「彼は『茶道の時期お家元』だ」と言っていたような気がする。「茶道のお家元」がどれほど社会的ステータスを持つのかは知らないけれど、それ関連での稼ぎがあったのかもしれない……。
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