225 / 393
冬休み編
第34話
しおりを挟む
(「山下」……って誰?)
保健・体育の担当教師。本当なら「市川」と書かれているはずなのに、「山下」という聞いたことのない教師の名前が書かれていた。
なんで? どうして? 各科目の担当教師は、一年間変わらないはずだ。途中で代わることなんて今までなかった。なのに一体どういうことなんだろう……?
「みんな、HRするぞ。席に着け~!」
呆然としていると、担任教師が教室に入ってきた。恰幅のいい中年男性だ。
彼は新年の挨拶といつもの事務連絡、冬休みの課題の回収をしつつ、最後にこう付け加えた。
「えー、それと……体育の市川先生は一身上の都合で退職したから、三学期からは別の先生になる。初授業の時に挨拶があると思うから、よろしくな」
聞いた瞬間、後頭部を思いっきり石で殴られたような衝撃があった。比喩でもなんでもなく、本当にめまいを覚えた。
(先生……退職したって、どういうこと……!?)
それ以降の話は、ほとんど耳に入って来なかった。
夏樹は上の空状態で、三学期初日のHRをやり過ごしたのだった。
「なっちゃん、なっちゃん! 市川先生、なんで学校辞めちゃったの?」
宮本翔太が早速声をかけてくる。そう言えば、彼だけは市川と付き合っていることを知っていたんだった。
「……知らないよ。最近話せてないし」
「え? 話せてないって、どういうこと?」
仕方なく、夏樹は簡単に経緯を説明してやった。詳細を語るのは心理的に辛かったので、河口に脅された部分に関しては適当にごまかしてみた。
保健・体育の担当教師。本当なら「市川」と書かれているはずなのに、「山下」という聞いたことのない教師の名前が書かれていた。
なんで? どうして? 各科目の担当教師は、一年間変わらないはずだ。途中で代わることなんて今までなかった。なのに一体どういうことなんだろう……?
「みんな、HRするぞ。席に着け~!」
呆然としていると、担任教師が教室に入ってきた。恰幅のいい中年男性だ。
彼は新年の挨拶といつもの事務連絡、冬休みの課題の回収をしつつ、最後にこう付け加えた。
「えー、それと……体育の市川先生は一身上の都合で退職したから、三学期からは別の先生になる。初授業の時に挨拶があると思うから、よろしくな」
聞いた瞬間、後頭部を思いっきり石で殴られたような衝撃があった。比喩でもなんでもなく、本当にめまいを覚えた。
(先生……退職したって、どういうこと……!?)
それ以降の話は、ほとんど耳に入って来なかった。
夏樹は上の空状態で、三学期初日のHRをやり過ごしたのだった。
「なっちゃん、なっちゃん! 市川先生、なんで学校辞めちゃったの?」
宮本翔太が早速声をかけてくる。そう言えば、彼だけは市川と付き合っていることを知っていたんだった。
「……知らないよ。最近話せてないし」
「え? 話せてないって、どういうこと?」
仕方なく、夏樹は簡単に経緯を説明してやった。詳細を語るのは心理的に辛かったので、河口に脅された部分に関しては適当にごまかしてみた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
603
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる