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冬休み編
第25話
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(せ、先生……)
こんなに怒っている市川を見たのは初めてだ。肌が痺れるほどの殺気を滲ませ、こめかみをぴくぴく震わせている。下手に触れたら怒りのオーラで切り裂かれそうだった。
三人はすっかりビビッてしまい、余計なことまでペラペラ喋り始めた。
「オ、オレらのせいじゃねーっスよ! 全部河口が悪いんス!」
「河口に誘われたから、乗っかっただけっスよ! 主犯じゃないっス!」
「河口が一番やりたい放題やってたんスよ! オレらはまだほとんどしてねぇっスよ!」
「なんだと……!?」
市川が河口を睨みつけた。目尻がナイフのように鋭くつり上がっていた。
捕らえていた三人を突き放し、河口に向かって勢いよく拳を振り上げる。
(まずい……!)
仮にも現役の高校教師が未成年を殴って怪我をさせたりでもしたら、クビどころでは済まない。
夏樹は慌てて二人の間に割って入った。
「やめて先生! 殴っちゃダメ!」
市川が驚愕したのが見えた。けれど振り下ろした腕は止まらず、固めた拳がもろに頬に直撃した。
「っ……!」
勢いよく身体が弾き飛んだのを感じた。頬に痛みを感じるより先に、運悪くベンチの角ーーちょうど尖っていた部分に顔をぶつけてしまい、額がザックリ切れてしまった。
「い……っ!」
額から血液があふれ、どっと目に流れ込んでくる。痛いことは痛いが、自分の血に目を潰されて前を見ることができなかった。
「な、夏樹!? 夏樹、大丈夫か!?」
市川の声だけはハッキリ聞こえる。彼にしては珍しく切羽詰まったような声だった。
こんなに怒っている市川を見たのは初めてだ。肌が痺れるほどの殺気を滲ませ、こめかみをぴくぴく震わせている。下手に触れたら怒りのオーラで切り裂かれそうだった。
三人はすっかりビビッてしまい、余計なことまでペラペラ喋り始めた。
「オ、オレらのせいじゃねーっスよ! 全部河口が悪いんス!」
「河口に誘われたから、乗っかっただけっスよ! 主犯じゃないっス!」
「河口が一番やりたい放題やってたんスよ! オレらはまだほとんどしてねぇっスよ!」
「なんだと……!?」
市川が河口を睨みつけた。目尻がナイフのように鋭くつり上がっていた。
捕らえていた三人を突き放し、河口に向かって勢いよく拳を振り上げる。
(まずい……!)
仮にも現役の高校教師が未成年を殴って怪我をさせたりでもしたら、クビどころでは済まない。
夏樹は慌てて二人の間に割って入った。
「やめて先生! 殴っちゃダメ!」
市川が驚愕したのが見えた。けれど振り下ろした腕は止まらず、固めた拳がもろに頬に直撃した。
「っ……!」
勢いよく身体が弾き飛んだのを感じた。頬に痛みを感じるより先に、運悪くベンチの角ーーちょうど尖っていた部分に顔をぶつけてしまい、額がザックリ切れてしまった。
「い……っ!」
額から血液があふれ、どっと目に流れ込んでくる。痛いことは痛いが、自分の血に目を潰されて前を見ることができなかった。
「な、夏樹!? 夏樹、大丈夫か!?」
市川の声だけはハッキリ聞こえる。彼にしては珍しく切羽詰まったような声だった。
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